米HPは、日本時間の10月15日(木)12時から、オンラインで「HP INNOVATION SUMMIT 2020」を開催した。社長兼CEOのEnrique Lores氏やゲストスピーカーが登壇し、新型コロナウィルス(COVIT-19)の世界的流行により組織や個人に起こった変化や、HPの役割などを語った。
冒頭、聞き手の同社取締役Ryan Patel氏と登壇したEnrique氏は、COVIT-19により、ビジネス環境がどのように変わったかを話した。
Enrique 「パソコンやプリンターをはじめとした製品やサービスを提供する中で、働き方が大きく変わっていることを実感した。働く場所はもちろん、ビデオ会議やチャットを活用したステークホルダーとの連携、オートメーションやオンライン技術を通じたサービスの製造や提供方法などが、過去数ヶ月でかつてないほど変化している」
しかし、裏を返せば変化の加速によって、新しい時代が到来したとも言えると同氏は話し、以下のように分析した。
Enrique 「以前であれば、社員の95%が在宅で勤務すると話しても、無理だと言われただろう。しかし、実際にはコロナがきっかけではあるものの、不可能と思われた施策も実現できることがわかった。働く場所を問われなくなり、柔軟性が生まれたことで、採用の要件も変化する。在宅勤務の増加により、必要なスキルや人材戦略も変わってくるだろう」
そのような変化が加速する中で、Patel氏からHPに求められる役割について問われたEnrique氏は、セキュリティの課題を挙げた。
Enrique 「変化が加速する環境では、信頼性の高さが重要になる。ビジネスモデルが変わったことで、セキュリティリスクが高まった。在宅勤務をする社員が会社のデータへどのようにアクセスするかは大きな課題。ステークホルダーが安心して取引できるように、パソコンやプリンターの開発で培った技術や知見を活かして、これからも地球上で最もセキュアな製品を提供していく」
HPの将来については、「5年、10年先も、パソコンやプリンターといった既存市場のトッププレイヤーであり続けるとともに、新しいビジネス領域にも参入したい。私たちがプリンター開発で培った、マイクロ流体力学の技術も活用して社会に貢献していく。人工皮膚や臓器の製造に利用されるバイオプリンティングにも応用可能で、医療や製薬の分野にも応用できるだろう。今後もドラスティックな変化が訪れるだろうが、従業員には、前向きに捉えて社会へ還元できるスキルを身につけてほしい」とした。