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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第118回

アップル「iPhone 12 mini」でミドルレンジ充実

2020年10月14日 16時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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●iPhone 11から進化したポイント

 2018年に、6.1インチの縁なし液晶ディスプレー「Liquid Retina」を搭載して登場したiPhone XRは、2019年にiPhone 11としてメインモデルとしてデュアルカメラを搭載し、iPhone 12はその進化版となります。

 まず、デザインが刷新されました。丸みを帯びたデザインから上下のエッジが強調され、垂直に立ち上がる7.6mmの板、という意匠はiPad ProからiPad Airと引き継がれたものに近いイメージです。新色としては、淡いグリーンとしっかりと濃いブルーが追加されました。

 デザインに加えて大きな進化は、ディスプレー。

 まずカバーガラスが、クリスタルシールドに変更されました。スマホ市場最も固いガラスで、4倍の対落下性能を誇るそうです。アップルは2019年に、クリスタルシールドを供給する米Corningに2億5000万ドル(約270億円)を投資しており、当面独占的にこのガラスを使っていくことになりそうです。

 またディスプレー方式が液晶から、上位モデルと同じ有機ELを採用するSuper Retina XDRに変更されました。省電力化に加えて、今後OSの処理で部分点灯などの処理にも対応できるようになり、iPhoneの主要なインフラとしてのディスプレーの底上げとなっています。

 さらに5Gに対応し、日本ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクで最大3.4Gbpsに達するサブ6GHzの通信をサポートしました。今回、最高4Gbpsに達するミリ波に対応するのは米国向けモデルのみで、本体は2g重く、側面にミリ波用のアンテナも用意します。2019年4月のクアルコムとの和解で、2020年モデルでの5G対応にこぎ着けたことを考えると、当時の判断がギリギリのタイミングであったことがうかがえます。

 カメラについては、広角カメラが新しくなり、f1.8からf1.6へと明るくなりました。またこれまで広角に限られていたナイトモードとDeep Fusion(画像合成による高精細化)は、A14 Bionicチップの画像処理プロセッサ、GPU、ニューラルエンジンの連動により、超広角、TrueDepthカメラでも利用できるようになりました。さらに、ビデオは10ビットHDR記録に対応し、Dolby Visionでの撮影に対応しています。

 もう1点、ワイヤレス充電です。Qi規格ではこれまで通り7.5Wに対応しますが、これに加えて新しいMagSafeでは倍の15Wでのワイヤレス充電に対応します。iPhone 12の背面には新たに磁石とNFCが内蔵され、これによって位置合わせとアクセサリ認識をする仕組みです。感覚としては、Apple Watchの充電器のように、パチッと適切な位置に吸いつくようになります。

 この磁石を利用し、ケースやカードウォレットのようなアクセサリを背面に貼りつけることもできます。新しいアクセサリ市場も開拓されるのではないでしょうか。

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