9月19日(米国時間)、オラクルとウォールマートの2社が、TikTokのグローバル版サービスを分離して設立する新会社“TikTok Global”に出資し、事業提携することで基本合意したことが分かった。米政権もこの提案に対して、原則承認する意向を示している。報道によると、米商務省が9月20日からと表明していた、米国内の“新規ダウンロード禁止”措置についても1週間延期する方針だという。
米商務省は9月18日(米国時間)に、中国政府に米国ユーザーの情報が漏洩することが安全保障上のリスクになるとし、アプリストアなどを通じたTikTokアプリの新規ダウンロード提供を9月20日に禁止すると発表。さらに米国資本が同事業を買収するなど、米国政府との合意が取れなければ、11月12日に利用自体も禁止するとしていた。
米国サービスはオラクルのクラウドを通じて提供へ
オラクルとウォールマートの2社は、上場前の新会社に対して合計20%出資する。オラクルはTikTokの技術パートナーとして、アメリカ国家安全保障局の要求を完全に満たす安全性の高いシステムで、すべての米国ユーザーのデータをホスティングする責任を果たすとする。また、ウォールマートとも商業提携する。
TikTok Globalは米国に本社を置き、継続した事業拡大により、2万5000人の雇用を生むとしている。
米政権は、TikTokサービスの安全性を担保するために、米国向けにTikTokサービスを提供するTikTok Inc.を、米国資本が買収すること(50%以上の株を取得)を求めていた。
バイトダンス(北京字节跳动)は創業以来、ニュースキュレーションサービスの「今日头条」(トーチャオ)、中国版のTikTokに相当する「抖音」(ドーイン)などを中国国内で提供・運営してきた。ただ、2017年にサービス提供を開始したグローバル版のTikTokは、抖音の単純な言語違いではなく、その後、買収したmusical.lyのサービスも包含した異なるサービスであるとしている。TikTokのサービスは、地域別に置いた別組織・別会社が運営・開発しており、サーバー、コードベースも異なるため、個人情報保護の観点で、米政府が指摘するような問題はないと強調している。
TikTokの暫定ディレクターVanessan Papas氏は、TikTokにメッセージを投稿。ユーザーの声援に感謝するとともに、「TikTokが、アメリカや世界中のみなさんに、これまでと変わらず引き続きコミュニティの場を提供できるよう、アメリカの技術パートナーとともに作業を進めているとご報告できるのを心から嬉しく思います」とコメントした。
また、日本のTikTokでゼネラルマネージャーを務める佐藤陽一氏もコメントを投稿。ここ数ヵ月の報道を通じて、TikTokのサービスが終了したり、危険なものだと不安に感じている人がいるかもしれないと前置きしたうえで、「TikTokは皆さんが安心して使えるアプリとして設計・運営されています。これからも透明性と責任ある運営を続けていくとともに、さらに楽しいプラットフォームになるよう進化していきます」とした。
また、新サービスの「TikTok LIVE」のスタートや「ギフティング」機能など新しいサービスの追加を紹介。TikTokユーザーの個人情報は、シンガポール・アメリカなど、地域別それぞれのサーバーに格納されていること、そのデータの取り扱いには、所在国の法律が適用され、その法律のもとで運用されていること、これまで中国政府から情報提供を要請されたことはなく、要請があっても渡すことはない点などを強調した。