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「バッキング=前を向いて進み続ける人を応援する」という企業姿勢

中小規模事業者支援にグローバルで2億ドル(約210億円)の投資をするアメックス 、その理由とは

2020年09月17日 18時00分更新

文● 貝塚/ASCII

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アメリカン・エキスプレスは「何かを目指す人をサポートするカード」

センチュリオン百人隊長の横顔が象徴的なクレジットカード。提携カードも複数ラインアップする(アメリカン・エキスプレス公式サイトより)

 アメリカン・エキスプレスといえば、ステータスを象徴するカードとしてのイメージもあるが、近年では、「そう、人生には、これがいる。」というメッセージとともに、「ビジネスでもプライベートでも、何か目標に向かって進み続ける人を応援するクレジットカード」「日常生活でも使っていただける、ユーザーに寄り添うカード」としての一面を推している。

 年会費がかかるクレジットカードではあるが、その分、各種保険や不正利用に対するサポート、顧客サービスなども手厚い。

 また、最近ではコンビニやスーパーマーケット、日常的に利用できるレストランやデリバリーでのキャッシュバックキャンペーンなど、イメージとは裏腹におトク感のある一面もあり、クレジットカードを頻繁に利用する人なら、さまざまなメリットが受けられるカードでもあるのだ。

SHOP SMALLとは?

アメリカン・エキスプレスが日本各地の店舗を盛り上げるプログラムとして実施しているのが「SHOP SMALL」

 そんなアメリカン・エキスプレスが、日本各地の中小店舗を盛り上げるプログラムとして実施しているのが「SHOP SMALL」だ。米国では2010年にスタートした同プログラムは日本においては2017年に横浜で始まり、年々活動の規模を拡大していた。

 2020年の今年は、コロナウイルスの感染拡大により経済的な影響を受ける地域社会や中小企業を支援する施策として、7月より、さらに大きな規模での展開をスタートした。

国内の中小事業主500人を対象とした同社の調査結果

 アメリカン・エキスプレスによる、国内の中小事業主(従業員100人未満、店舗数25件未満)500人を対象にした事前の調査では、「事業継続に必要な水準に回復するまで、私の店は営業を続けられないと思う」という回答が、40%にも及ぶことが明らかになったという。

 また、同アンケートで「店がコロナ禍から回復するなかで最も重要になる支援者」として「政府/地方自治体」(22%)、「新規顧客」(21%)という回答を抑え、最も多かったのは「地元の常連客」(35%)だったとしている。

国内の中小事業主500人を対象とした同社の調査結果

 経済状況は事業者によってさまざまだと思うが、誰もが経験したことのない、戦後最大級と呼ばれる不況の中、「いつも使っていただいているお客さんたちに戻ってきてほしい」という想いを抱える事業者の姿が見えてくる結果ではないか。

同調査結果で、「顧客は安全だと感じるようになれば 私の店に戻って来ると期待する」に「同意する/大いに同意する」という回答は、日本は66%。他国と比較しても少ない

キャッシュバック+店舗運営用資材もサポート

 これらを踏まえ、今年、アメリカン・エキスプレスが実施するSHOP SMALLも、中小規模事業者を積極的に支援するという考え方に基づいている。大きく分けると、プログラムの内容として、大きなものは2つ。ひとつは、30%のキャッシュバックキャンペーンだ。SHOP SMALLの実施店舗で事前登録をしたアメリカン・エキスプレスを使って決済をすれば、代金の30%が会員にキャッシュバックされる。一部を除き、提携するカード発行会社のアメリカン・エキスプレスブランドのクレジットカードも対象になっている。

 最大で5000円までとなるが、10万店舗のプログラム参加店でキャッシュバックを受けることができる。また、家族会員など、複数のアメリカン・エキスプレスのクレジットカードを所有している場合は、その枚数分だけのキャッシュバックが受けられる(例:本会員1枚、家族2枚の場合、合計3枚=1万5000円のキャッシュバック)。さらに、昨年は20万人までであった登録人数上限も今年は撤廃した。

 もうひとつは、コロナ禍における店舗運営に関するサポートだ。アメリカン・エキスプレスでは、SHOP SMALLの実施店舗向けに、実施を会員に知らせる店頭告知用のPOP、衛生用品(除菌アルコール噴霧器、除菌スプレー、除菌シート)に加えて、床に貼り付けるソーシャルディスタンス啓発用の資材なども無償で提供している。

店舗を営業するための資材も無償で提供

利用金額の30%をキャッシュバックするという思い切った施策だ

 「プログラム開始前に予想していたよりも、はるかに多く、今回のキャッシュバックキャンペーンを利用していただいています。

ウェブサイトから、参加店を検索できる。アスキー編集部の入居ビルが所在する、市ヶ谷駅でプログラム参加店を検索したところ。それほど規模の大きくない中央線駅である市ヶ谷駅でも、複数の店舗が参加している

 30%という思い切ったキャッシュバックによって、プログラム参加店舗での消費を促進する試みですが、キャッシュバックというメリットを受ける会員さまからも、『このプログラムで、家族で焼肉を楽しんだ』など、喜びの声をいただけていますし、店舗からも、お客さまに足を運んでいただくきっかけになったとの声をいただいています。やってよかったなと感じているところです」(担当者)

210億円の投資、その価値はどこに?

 今回、アメリカン・エキスプレスでは、日本を含む世界10ヵ国以上で中小店舗における消費をうながすこのSHOP SMALLに、2億米ドル(およそ210億円)以上の投資を行っている。

 野暮な話になるが、こうなってくると、じゃあ、アメリカン・エキスプレスにはどんなメリットがあるのかと疑問に思う。企業である以上、210億円を利益として残した方がいいのではないか? とも思えそうなところだ。

 聞きにくい部分だが、その“心”はどこにあるのか。担当者にたずねてみると、「目標に向かって進み続けようと思っている人を応援する』というアメリカン・エキスプレスのブランドの姿勢を大切にしているんです」という回答が返ってきた。

余談だが、同社ではANA・アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードの会員向けに、「スマートフォン・プロテクション」という付帯保険を提供している。スマートフォンの故障代金を3万円まで補償してくれるという内容の、スマホ好きは注目のサービスだ

 バッキングは、支えるとか、後押しするといったニュアンスですね。もちろん、今回のコロナ禍で、私たちも影響を受けた部分はあります。

 でも、企業としていま何をやっていくべきかと考えたときに、微力ながら中小規模の事業者をサポートし、地域全体で元気になってもらうのが大切だろう、という考えです。

 感染防止という観点からは、現在は外出もしにくい状況ですが、今回のSHOP SMALLはデリバリーやテイクアウトも対象ですし、飲食店に限らず、雑貨や服飾、それに理容や美容の店舗も対象になっています。会員さまには、ぜひ、どんどん使っていただきたいですし、それがプログラム参加店のサポートにもなると信じています」(担当者)

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