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「MX Master 3 for Mac」と「MX Keys for Mac」をレビュー

純正品しか使わなかった筆者が、ロジクールのmacOS向けマウスとキーボードを使ったら劇的に快適な環境が手に入った

2020年08月28日 09時00分更新

文● 貝塚/ASCII

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MX Keys for Mac

iPadともペアリングできる高品質キーボード

 MX Keys for Macも見ていこう。

 こちらはMX Master 3 for Macに比べれば、純正品と比較して特別な機能が盛り込まれているというわけではない。ひと言で表すなら、macOS向けの英字レイアウトを採用した、品質の高いキーボードだ。

Bluetooth接続のほか、付属のレシーバーを使った接続も可能

 接続はBluetoothか、付属のUSB Type-Aレシーバーで行なう。上部のUSB Type-C端子経由で充電でき、フル充電時、最大で10日間の連続駆動が可能。バックライトをオフにしておけば、公称では最大5ヵ月間の使用もできるという。

 アップル純正のMagic Keyboardは公式サイトでは「一回の充電で1ヵ月、あるいはそれ以上」とされていて、明確にどれくらいバッテリーが持つのかはうたわれていないが、筆者の体感では、使用頻度が少なめなら2ヵ月や、それ以上くらい持つこともある。

上部に充電用の端子を設ける

 この点で、バッテリー寿命に関してはMX Keys for Macの方が優れている可能性が高いといっていいだろう。バックライトの有無、バッテリー容量は双方とも公開されておらず、さすがに5ヵ月間試用することはできないので確かめられないという意味で、「可能性が高い」としているが、「バックライトを消灯していれば最大5ヵ月間をうたう」ということは、おそらく、ある程度以上のバッテリー容量を持っているはず。

 また、本体には近接センサーが内蔵され、手を検知する。手を近づけるとバックライトが点灯するため、電力を節約できるのだ。省エネの意味でもうれしいが、「手を近づけるとキーボードが光る」というのは見た目にもカッコよく、パソコンに向かう気分も変わってくる。

 MX Keys for MacもiPadと組み合わせることが可能で、MacとiPadを両方ペアリングしておき、環境が変わっても同じキーボード環境を実現するという使い方ができる。

 なおパッケージにも記載があるのだが、macOS側で暗号化方式「FileVault」をオンにしていると、起動時にBlutoothデバイスとの接続ができない可能性があり、ログインパスワードが入力できなくなる。筆者の検証環境では、Bluetooth接続でも問題なく動作したが、FileVaultと組み合わせて使うなら、付属のレシーバーを使った接続が確実だ。

iPadとのペアリングも可能だ

特殊な形状のキートップによる優れた打鍵感

 キーの形状にも注目したい。キーストロークがおよそ1.8mm、キーピッチがおよそ19mmと余裕のあるサイズ感で、そもそも打ち心地はいいのだが、キートップが丸くくぼんでおり、指への密着感が高い。

キートップが丸くくぼんでおり、指に密着する

 多くのキーボードはキートップに視認できるかどうかというレベルの微妙なくぼみが作ってあるが、ここまでしっかりとくぼんでいると、使用感は明白に違う。

 置いた指がしっかりとホールドされ、ブレにくく、安定したタイピングが可能だ。ブラインドタッチでキーのギリギリに指がのった場合でも、隣のキーとの境目がはっきりと感触で伝わるので、ミスタイプは極めて起きにくいだろう。

英字配列キーボードのよさとは

 MX Keys for MacはUS(英字)キーを採用しているため、JIS(日本語)キーボードからの移行時には戸惑うかもしれない。

 筆者はUSキーを普段から愛用しているのだが、そのメリットは大きく分けてふたつだ。一つ目のわかりやすいメリットは、キーの見た目がすっきりしている点。

 JISキーボードでは、アルファベットのほかに、かな入力用の平仮名が印字されているが、これは、かな入力用であり、ローマ字入力時には使わない。ローマ字入力をしているなら、個人的には、英字キーボードの方がむしろ、すっきりとして見やすいと感じる。

 もうひとつのメリットは、キーの配列に合理的と規則性が感じられる点だ。

 わかりやすい部分では、スペースキーがJISキーボードに比べて長く、ホームポジションに手を置いた状態では、両方の親指がスペースキーの端にかかる。コーディングなど、スペースを多用する作業のときは、このちょっとした違いが作業性に大きく影響する。

 エンター(リターン)キーと、バックスペース(Macでのキー名称はdelete)も横に長く、それぞれ、キーの端が、右の小指、右の薬指で無理なく届く範囲にある。

 指の長さも関係してくるのだが、常に手を中央に置いていても、使用頻度の高いキーに無理なく指が届く(ように設計してある)キーボードは、一度慣れると、とても使いやすい。ちなみに筆者の場合、かなと英字の切り替えは「command+スペース」に割り当てている。

 MacのJISキーの場合は、スペースキーの左右に「かな」と「英字」が配置されているが、慣れると、同じキーの組み合わせで英字とかながトグル(交互に切り替わる)する方が快適に使える。

 「英字を入力しようとしていたが、かなに設定されていた」というシーンがあったとしよう。この場合、英字キーボードならいつでも「command+スペース」を押すことで、目的の入力方式に切り替えることができる。

 しかし、「かな」「英字」という2つのキーの選択肢がある場合、「かな、英字キーのどちらを押せばいいのか」という一瞬の判断が必要になる。つまり、USキーなら「押す」だけなのに、JISキーなら「選択して」「押す」とフローが1つ増えるのである。

 非常に些細なことだが、コードを書いて、プレビューをして、メールを送って……という作業を繰り返すプログラマーのような職業なら、この些細な差も、トータルすれば効率に大きく影響するはずだ。

Undo(取り消し)、カット、コピー、ペーストも実は異なる

 同じように些細な部分だが、多用するUndo(command+Z)、カット(command+X)、コピー(command+C)、ペースト(command+V)も押しやすい。Magic KeyboardのJISキーボードでは、commandのほぼ真上にZが来ている。Z、X、Cはcommandと同時に押しやすくても、Vを同時に人差し指で押すときは、少々人差し指を無理に伸ばすような格好になる。

 一方で、MX Keys for Macの場合、commandの真上に位置するのはXであり、Z、X、C、Vのいずれもがcommandと同時に押しやすくなっている。スペースの両脇にかな、英字キーがなく、親指は常にcommandとスペースの中間くらいに置いておけるので、少ない指の移動でよく使うcommand+Z/X/C/Vが使えるのだ。

記号の配列がわかりやすい

 このほか、「{」と「[」、「"」と「'」、「:」と「;」など、同じキーのshiftのアリ/ナシで入力できる記号に規則性がある点もわかりやすく、大きなメリット。JISキーではこのあたりを隣合わせに置いていたり、上下に置いていたりするし、ひとつのキーに4つの記号が印字されていることもあるので、混乱しがちだが、USキーではすっきりとわかりやすい。

 いずれも「慣れた方式が使いやすい」部分はあるのだが、USレイアウトにはメリットが多くあるのだ。反対にいえば、USキーに抵抗があったとしても、使い始めるとすぐに慣れてしまう。MX Keys for Macの購入を考えていて、USレイアウトをネックに感じている人にも、「すぐ慣れるし、便利ですよ」と伝えたい。キーボード自体の造りのよさも素晴らしいので、ぜひ合わせてチャレンジしてみてはいかがだろう。

MX Keys for Macも3つのデバイスをボタン1つで即切り替えられる

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