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コロナ禍を生き残るためのテレワークの進め方

中堅企業470社への調査結果から「テレワークの障壁」5つを指摘、対策支援の新施策を発表

業務への支障で1割が「今後のテレワーク継続を断念」、デル中堅企業調査

2020年08月05日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 デル・テクノロジーズ(デルとEMCジャパンが合併し8月1日に発足)は2020年8月4日、国内中堅企業(従業員100~999名)約470社を対象として今年6月に実施した、テレワークやBCP(事業継続計画)などに関するIT動向調査の結果を発表した。新型コロナウイルス感染拡大以降、約6割の中堅企業がテレワーク/在宅勤務を実施したが、1割の企業は今後のテレワーク継続を断念。またBCP策定済み/策定中の企業は増えたものの、その対策予算は減額している実態も明らかとなっている。

 記者説明会では調査結果の詳細と分析が説明されたほか、調査から判明したテレワーク/在宅勤務にかかる課題の解決を支援するための、3うの新たな施策や既存施策拡充策が紹介された。

今回の調査結果ハイライト。1月調査比ではテレワーク実施企業が約40ポイント増加したが、同時に1割の企業は業務継続に支障があり「継続を断念」している

説明会に出席したデル・テクノロジーズ 上席執行役員 広域営業統括本部長の瀧谷貴行氏、同社 広域営業統括本部 デジタルセールス&広域営業本部長の木村佳博氏

およそ1割の企業がテレワークの継続を断念、その理由とは

 この調査は、今年2月に発表された「中堅企業IT投資動向調査 2020年版」(調査実施:2019年12月~2020年1月)の追跡調査として、2020年6月8日~7月3日の期間で実施されたもの。今回は特に、新型コロナウイルスの感染拡大によって、ビジネスと働き方にどんな変化が起きたのかを問う設問が追加されている。有効回答社数はおよそ470社だった。

調査概要とハイライト3点

 説明会でハイライトされた1つめは「テレワーク/在宅勤務の実施状況」だ。1月調査では25.1%の企業がテレワークを実施していたが、今回は63.9%と大幅に増加している(38.8ポイント増)。実施後に気づいた課題としては「押印や印刷のための出社」(40.4%)、「請求書や帳票発行のための出社」(38.9%)、「PCやリモートで業務を行うシステム/ツールの導入が不十分」(29.6%)がトップ3の回答だった。

 IT担当者/情シス担当者の業務にも影響が出ている。業務内容の割合を見ると、ヘルプデスク業務を含む「PC導入管理」や「ネットワーク運用管理」に割かれる時間が10%以上増加し、テレワーク実施が担当者の運用負荷増加につながっている実態が明らかとなった。また、ITに関して外部ベンダーとの相談頻度が「減った」「やや減った」とする回答が20.9%で、技術や市場、他社動向などの情報収集が難しくなっていることもわかる。

 調査結果ハイライトの2つめは、「テレワークの継続を断念」した中堅企業が約1割(9.8%)に及ぶことだ。その理由としては「コミュニケーションが難しい/時間がかかる」「チャット/Web会議ツールなどの習熟度などに個人差があり、円滑な業務進行を妨げる」などが挙がり、テレワークが長期化するなかで社内のITリテラシーギャップが問題化していることがわかっている。

 また、6割の企業がテレワークを実施したにもかかわらず、業務システムへのセキュアなアクセス手段が十分に準備されていなかった実態も明らかになっている。テレワーク環境からメール以外の社内システムに接続できていない企業が全体の60.7%を占めており、オフィス出勤と同等レベルの業務を継続するために必要なIT投資が行われていない実情も明るみになっている。

 ハイライトの3つめは「BCP対策予算の減額」だ。まず、BCPを「策定済み/策定中」とした企業は45.7%となり、1月の38.1%から7.6ポイント増加している。また、今年度の年間IT投資額平均は1495万円で、1月調査の1470万円からはほぼ変化がない(1.0%増)。しかしBCP対策費用は平均105万円で、4.0%の減少となっている。その一方で、テレワーク実施のためのノートPC導入やセキュリティ対策へのIT投資は増額されたことが明らかになっている。

 この結果についてデジタルセールス&広域営業本部長の木村佳博氏は、「目の前で必要なIT予算、具体的にはノートPCの調達やセキュリティ対策には投資しているものの、中長期で『テレワークを継続していく』ための投資は、なかなか進んでいないのが現状」だと説明する。その背景には、経営層や管理職層において「今後もテレワークのできる環境が必要である」という理解が進んでいないことがあるという。

「いつもどおり仕事ができる」は「ベストな仕事の仕方」とイコールではない

 デル・テクノロジーズ 広域営業統括本部長の瀧谷貴行氏は、今回の調査結果から浮き彫りになった「課題」を次のように総括した。

 「今回、働き方が変わったことで浮き彫りになったのは、これまで『いつもどおりに仕事ができていた』ことは、それが『ベストな仕事の仕方である』こととイコールではないということ。同様に、変革をしなければならないと『気づいている』ことも、『いつでも変革を始められる』ことととイコールではない。日本の中堅企業においては、きちんど出来上がった過去のやり方、過去のプロセスには熱心に取り組む一方で、なかなか新たな取り組みに着手できていない」(瀧谷氏)

 そうした観点に立って、中堅企業は従来の仕組みやルールの抜本的な見直しを行い、新たな仕組みを作っていくことが急務であり、経営戦略から業務プロセス、働き方まで、幅広いデジタル活用が必要だと、瀧谷氏は強調する。

 デルでは今回の調査結果に基づき、「テレワークの障壁」5つを挙げ、それに対応する新たな企業支援施策を3つ、発表している。

中堅企業向けに3つの新施策を発表した

 まず、企業従業員/エンドユーザーのテレワークを支援する「働く環境支援」として、「テレワークアセスメント/コンサルティング」や「PCレンタルプログラム」「ノートパソコン即納モデル」を用意した。PCレンタルプログラムではパシフィックネットと提携し、リモートワーク用ノートPCの3年間または5年間のレンタルを行う(最初の3カ月間は無償提供)。また即納モデルでは、「最短で翌営業日」に納品できる法人向けノートPCモデルを用意した。

 次の「仕事の仕方支援」では、業務プロセス改革やIT担当者のヘルプデスク業務改革を図る。具体的には、パナソニックインフォメーションシステムズとの提携により、“紙ベース”で回っていた社内の稟議承認プロセスを電子化する汎用ワークフローソリューション「MAJOR FLOW Z FORM」を提供する。また、従来から提供してきたPCヘルプデスク業務をデルに委託できる「PCマルチベンダーサポートプログラム」を拡充し、チャット/Web会議ツールに対する問い合わせにも対応する。なお、同プログラムは2020年7月末まで無償提供することになっていたが、今回、無償提供期間を2021年3月末まで延長している。

 最後の「コミュニケーション支援」については、ユーザー間のテレワーク関連ツールの習熟度ギャップを埋め、円滑なコミュニケーションを実現する支援を行う。具体的にはエンドユーザー向けのツール活用講座(Zoom、Microsoft Teams)と、管理者向けのコミュニケーション講座をオンラインで展開する。後者は中小企業診断士も招き、通常の(オフィスでの)コミュニケーションとオンラインコミュニケーションの違いから、タスクマネジメントや業務生産性向上の取り組み、さらにチーム内のモチベーション/エンゲージメントの高め方を解説するという。

 なお、中堅企業向けに今年度計画してきた各種支援施策については、オンラインにその場を移して実施を進めている。総合情報ポータルを通じた情報共有、バーチャル化したセミナーや講座、コミュニティ“相談所”の提供などだ。

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