2019年10月に国内向けに発売されたHTCのVRヘッドセット「VIVE Cosmos」。外部トラッキングシステムのベースステーションを使わず、本体の6つのカメラで周囲の状況をとらえて6DoFのトラッキングをサポートする“インサイドアウト方式”を採用する、従来のVRヘッドセットと異なる新たなスタンスの製品だ。
そんなVIVE Cosmosだが、実はリリースされた当初は、専用ハンドコントローラーにとある不具合を抱えていた。
その不具合とは「ヘッドセットカメラの視野からハンドコントローラーが外れた際に、トラッキングがおかしくなる」というもの。発売当初から多くのユーザーがこの問題をHTCに報告し、同社も対策のためのソフトウェアアップデートを早々にリリース、その後も細かな改善に努めている。
2019年10月の発売から日も経ち、そうした不具合の改善も進んだだろうこの機に、VIVE Cosmosのコントローラーのトラッキングがどれくらい快適になっているのか、改めてチェックしてみることにした。
VR FPS「Gun Club VR」で
銃がしっかり操作できるかチェック
「Gun Club VR」は、現実の銃のようにリアルな銃を用いて、射撃場での訓練が体験できるVRシューティングゲーム。VIVEPORTでは2019年5月にリリースされ、2050円で販売中だ。定額料金でVRコンテンツが遊び放題になるVRサブスクリプションサービス「VIVEPORTインフィニティ」(月額1500円)に加入していれば本作も遊び放題になる。
本作では、プレイヤーはハンドコントローラーで両手を動かし、握った銃でターゲットを撃っていく。典型的なVR FPSであり、トラッキングのテスト行なうには絶好の作品だ。
結論から言うと、プレイ中にVIVE Cosmosハンドコントローラーのトラッキングにはまったく問題は生じなかった。あえて身体を激しく動かしながらの銃撃にもトライしてみたが、トラッキングがずれてゲーム内の手がおかしな方向に向くことも皆無。操作方法に独特さ(銃のマガジンをスティック操作で排出するなど)はあるものの、ゲーム自体は楽しく遊ぶことができた。
VRアクション「Apex Construct」の
弓の操作も快適
続いて検証する「Apex Construct」は、2018年にリリースされた、弓と盾を使って戦うVRアクションゲームだ。価格は2241円。人気FPSタイトル「Apex Legends」と勘違いされて知名度が急上昇したという変わった経歴の作品だが、ゲーム本体の完成度はかなりのもの。なお本作も「VIVEPORTインフィニティ」対応タイトルだ。
「Apex Construct」は先述した通り弓を使うゲームなので、武器の構え方は「Gun Club VR」とは大きく異なる。左手弓の近くで、右手ハンドコントローラーのトリガーを引くと矢が装填される。その後コントローラーを手前に動かして引き絞り、トリガーを離すと、矢を放てる仕組みだ。
その性質上、弓矢を使用する際には両ハンドコントローラーがほぼ一直線に並ぶが、テストプレイでは、トラッキングは完璧に機能した。筆者の腕が耐えられる範囲で連射射撃も行なってみたが問題は特になし。合格点以上のトラッキングを実現していると評価できるだろう。
トラッキングは当初より断然快適に
以上のように、現在のVIVE Cosmosは、かつてのトラッキング問題の大部分を解消。アクション要素の多めなVRゲームでも問題なく楽しめるようになった。発売当初にトラッキングに悩まされた人も、もう1度試してみれば、その違いがわかるハズだ。
VIVE Cosmosは前述の通り、外部センサーやベースステーションの設置という手間なしに、各種VRコンテンツを楽しむことできる手軽さが魅力。VRヘッドセットに触れたことがない人はもちろん、周辺機器を設置するスペースが自宅などにない人には、是非VIVE Cosmosをオススメしたい。「VIVE Cosmos」は、記事執筆時点では98870円で販売中だ。
(提供:HTC NIPPON)