埼玉県の加須に浅草「来集軒」と関わりのあるラーメン屋があるとの情報で、友人3人で訪れた。県道152線沿いにあり、東武伊勢崎線「加須駅」、「花崎駅」のほぼ中間で、両駅からはえらく遠い道のりだ。
開店と同時に訪れるとすでに満杯、しばらくしてテーブル席に通される。
「ラーメン2つとワンタン麺、焼売5個下さい」
「ラーメン」は、浅草「来集軒」とデコレーションは異なるものの、スープの香りがどこか似いてる。
また浅草に比べスープを覆う脂も少なめで、醤油のキレ、ガラの旨味に加えカツオなどの乾物がほのかに香る。
「これ旨いな~」
自家製の手揉みの平たい縮れ麺は滑らかで、やや茹で過ぎかな。でも美味しい。
焼豚もしっかりと下味が入って美味。
「ワンタンめん」はタップリと小ぶりなワンタン、チュルンとしてこれもいい。
「シュウマイ」は、シットリとした舌触り、肉以外につなぎがやや多めで、家庭的な穏やかな味わいで何個でも行けてしまう。
浅草の「来集軒」のシュウマイはかなりつなぎが多めで、こっちのほうが輪郭のはっきりした味わいだ。
メニュー表の歴史を見ると、この「来集軒」は祖父が戦前「来集軒製麺所」から独立して入谷「来集軒」をオープン。しかし太平洋戦争が勃発し、戦禍に見舞われ、昭和19年に入谷の店をたたみ、この加須に疎開したそうだ。昭和22年に加須で初めての中華料理屋「来集軒元町店」をオープン。この久下店は昭和47年のオープンのようだ。
「へ~、元町店っていうのが本店なのか……」
「今度行ってみないとな」
いずれにしてもラーメンもシュウマイもメチャ旨。近くにあったら週一で通いたい店だ。
〈店舗データ〉
【住所】埼玉県加須市久下5–272–5 電話0480-65-2752
【営業】11時30分~15時 17時~20時
【休日】月・第3火
【アクセス】東武伊勢崎線「加須駅」・「花崎駅」両駅から徒歩26分 東北自動車道「加須IC」から車で5分
小野員裕 Kazuhiro Ono (大衆料理研究家)
17歳からカレーの食べ歩きをスタート。以降、大衆料理研究家として早い時期からジャンルを問わず各メディアで情報発信。著書「魂のラーメン(プレジデント社)」はラーメンファンのみならず食に関わる多くの評論家やブロガーにも多大な影響を与えた。現在も1日1軒は食べ歩きの日々。
百麺人(https://ramen.walkerplus.com/hyakumenjin/)
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