なんと半世紀以上の歴史が詰まった、佐賀の人情あるラーメン店 宝来軒(佐賀県・神埼市)【福岡県大川市に移住した映画監督の豚骨ラーメン日記】第5回
2020年06月27日 12時00分更新
前回(第4回)に続いて佐賀県神埼市からもう一軒、昭和39年の東京オリンピックの年にオープンされたというこちらも老舗のラーメン店「宝来軒」をご紹介します。
昔、賑やかだったという商店街に位置します。昭和が残る佇まいの立派なお店(裏が御宅)です。
ここには2度は必ず来たくなります。理由はこのメニュー。
ラーメンと、邪道ラーメンがあるのです。どちらも550円。
いつか夜に来て焼き鳥とかおでんを食べてみたい。佐賀の日本酒もあります。
定番のゆでたまごは、こんな感じでカウンターに置いてます。いつものように食べながら待ちます。
こちらがラーメンです。黄色みがかったスープにチャーシュー、海苔、ネギ。紅ショウガも最初から少し乗っています。
ゆで卵の半分をスープに投入して食べ始めます。
麺は佐賀の定番・中太ストレートの柔麺。カタ麺もやってくれますが、ここはお任せの柔麺で。
「替え玉より大盛りの方が美味しい」そう言い切るおかあさんは替え玉否定派。久留米・佐賀ラーメン系は元々替え玉より大盛りの文化なのです。
しっかりと味のある豚骨スープは甘みがあって、胃袋を温かく満たしてくれます。
脂身の少ない薄切りチャーシューの味がかなり濃く、最初から入っている紅ショウガと合わせて、スープに少しずつ染みていってそれがまたクセになります。柔麺とスープを交互に食べていくと、どんどん口の周りが脂でパックされツヤツヤに。
対して、「邪道ラーメン(豚骨でない、あっさりしたラーメン)」はこちら。
透明に近いスープ。こっちは最初からすりゴマがたっぷり
麺も具も同じなんですが、こちらはスープがあっさりした塩味。食べ続けても口周りがパックされません。店内の匂いのせいで、豚骨風な気がしなくもないんですが、塩ラーメンですね。こっちは夜中に食べても胃もたれしなそうな優しさ。
去年、ご主人を亡くされたということで、今はおかあさんお一人で営業されています。食べている間、本当に色々とお話をしてくれます。このお店が製麺所とアイスキャンデーと回転焼きから始まったこと、近くのラーメン店が辞めたときにそこの方がラーメンの作り方を教えてくれたこと、子育てに紙おむつを使ったことが無かったとか、商店街が賑やかだった頃は砂埃がすごかった……、などなど、おしゃべり好きなとても明るく素敵な女性で、姿勢も美しく、とても80歳を超えているように見えません。座ってばかりの正月が苦痛だそうです。基本毎日、夜中の1時まで営業しているという!
僕の隣に座ったおばあちゃんは85歳で、点滴帰りに自転車で食べに来ていました。病院帰りにとんこつラーメンですよ! 九州のお年寄りはどんだけ元気なんですか。
宝来軒
佐賀県神埼市神埼町神埼75
営業時間:11時〜25時
定休日:不定休
完山京洪 Keihiro Kanyama (映画監督)
映画制作をきっかけに東京から福岡県大川市に移住して4年半。完全にとんこつラーメンの中毒に。映画の他にゲストハウスLittleOkawoodを運営。
本人Twitter @Keihiro
ラーメン食べ歩きインスタ @ramencrazyfukuoka