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【福岡県大川市に移住した映画監督の豚骨ラーメン日記】第2回 くどう食堂(福岡県・大川市)

2020年02月21日 18時00分更新

文● 完山京洪文 編集●ラーメンWalker

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 近隣にたくさん美味しいラーメン店があり過ぎて、再来店までにどうしても間隔が空いてしまうんだけど、「くどう食堂」に再び来ることが出来て大感激。なんせ2年ぶり。実は去年、おかあさん(僕はそう呼ぶ)は店のそばで車に轢かれてしまい、1月から10月まで入院&リハビリでずっと店を閉めていたのです。復活の噂を聞きつけ、久しぶりに店内へ。

 ここも時代が止まったかのような金額設定。ラーメンとちゃんぽんが同じ金額とか、信じられません。創業から35年ずっと据え置きだったのに、昨年10月の再開から値上げに。申し訳なさそうに話すおかあさんに、「もっと値上げしましょう」と言うと、「よく客にそう言われる」との返事。消費税増税反対。

 「くどう食堂」という名前らしく、定食メニューも豊富です。ちなみにラーメン定食は、餃子とライスが付きます。

 昔はメニューにお好み焼きがあって、小上がりにはそのままの雰囲気が残る。焼肉は予約がないと今は出せないとのこと。

 おかあさんに車に轢かれた真相を確認すると、「車に後ろからばい〜んと轢かれた」とのこと。「ばい〜ん」はこっちの方言ですが、うまく説明できません。聞き慣れない僕は思わず笑ってしまったごめんなさい。

 休業中の家賃や、再開時の大掃除で保険金も全部無くなってしまったが、それでも常連さんの期待に応えるために36年続いているこの店を続けることにしたと…泣ける。今は娘さんが天神から(大川まで1.5時間!!)店を手伝いに来ています。

 仕事仲間と3杯頼んでしまったので、事故の影響で右肩が上がらないおかあさんは、麺の湯切りがめちゃくちゃ辛そう。プルプル震えてました。こぼれた麺を空いた片方の手で丼に入れる姿を見て目頭が熱く…

 腕が上がらないので、こっちから手を伸ばしてラーメンを受け取ります。

 こちらがラーメン。基本の中太ストレートの柔麺と、味の濃いチャーシュー、薄切りゆで卵にネギです。ちなみに久留米・大川・佐賀の地方は、言わなければレンゲがついてこない場合が多いです。

 おかあさんが体の限界を振り絞り作った感じが盛り付けで見事に伝わってきて、泣けてきます。

 スープを飲むと、以前と変わらずポタージュを思わせるようなザラザラした食感。ラードは以前より少なめになった印象。聞くと、おとうさんが亡くなってからは息子さんに頼んで、週末に豚の頭を割ってもらってるそう。今は珍しい、鶏を使わず、豚の頭を煮込んで作っているのです。そんな大変なことを今も続けてるんです。このスープをみんなにも飲んで欲しい。

 焼きめしも頼みました。娘さんが担当でした。おかあさんの実家でお昼ご飯を食べているような不思議な感覚に浸れます。わかめの味噌汁がついてきます。

年季の入りすぎたサインたち

なぜかカウンターに置いてます

 「とにかく洗濯物を干すのが大変」「髪を洗うのも左手で右手を上げてから」などのおかあさんの苦労話に相槌を打ちながら、あっという間に完食。久しぶりに独特の美味しさを堪能。おかあさんに頑張って欲しいので、また来ます!

 (追記)2週間後にまた行ったら、おかあさん一人。聞いたら娘さんと喧嘩したとのこと(苦笑)。お一人だけの時はメニューは限定されるのでそこはご理解を。ちなみにラーメンとちゃんぽんを頼みました。ラーメンは、おかあさんが途中で落としてしまったので、ゆで卵なし。ちゃんぽんは豚肉に野菜、ちくわとかまぼこが入ってて美味。

くどう食堂(大川市)

月曜休み
11時~
17時~
日曜は11時からラストまで

完山京洪 Keihiro Kanyama (映画監督)

映画制作をきっかけに東京から福岡県大川市に移住して4年半。完全にとんこつラーメンの中毒に。映画の他にゲストハウスLittleOkawoodを運営。

本人Twitter @Keihiro
ラーメン食べ歩きインスタ @ramencrazyfukuoka

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