さとうなおきの「週刊アジュール」 第126回
Azure Cosmos DBが自動スケール、サーバーレス、HTAPをサポート
「Build 2020」で発表されたAzureアップデート《データ編》
2020年06月04日 08時00分更新
こんにちは、さとうなおきです。今回の「週刊アジュール」では、2020年5月17日~23日の1週間に発表されたMicrosoft Azureの新機能から、筆者の独断と偏見で選んだトピックについて紹介していきます。
5月20日~22日には、Microsoftの年次カンファレンス「Build 2020」がオンラインイベントとして開催されました。このBuild 2020におけるアップデートを中心に、インフラ、アプリ開発、データ、AI/IoTの4回にわたってお伝えします。今回は、データ編です。
Azure Cosmos DB:自動スケール、サーバーレス、Azure Private Link、C#ノートブック、Azure Synapse Link
Azure Cosmos DBは、複数のデータモデル/APIをサポートしたグローバル分散型のNoSQLデータベースサービスです。
Build 2020では、Azure Cosmos DBに関する多数の発表がありました。
- ブログポスト「Azure Cosmos DB で任意のサイズまたはスケールのアプリを構築」
- ブログポスト「Azure Cosmos DB wrap-up: May 2020 BUILD Announcements」
Azure Cosmos DBで、(プレビュー時には「オートパイロット」と呼ばれていた)新しい価格モデル「自動スケーリングプロビジョニング済みスループット」が、GA(一般提供)になりました。
これまでの手動構成の「プロビジョニング済みスループット」価格モデルでは、RU/s(秒あたりの要求ユニット)で示されるスループットを指定すると、そのスループットを実際に消費したかどうかに関わらず、そのスループットに対応するキャパシティがプロビジョニングされ、そのスループットに対して課金が発生していました。
新しい「自動スケーリングプロビジョニング済みスループット」では、指定した最大スループット、(最大スループットの10%となる)最小スループットの間で、リクエストに応じてスループットが自動的にスケーリングします。これによって、変動するワークロードに対して、コスト効率良く対応することが可能になります。
- 更新情報「Azure Cosmos DB 用の自動スケーリング プロビジョニング済みスループット」
- ブログポスト「Autoscale + serverless: new offers to fit any workload」
Azure Cosmos DBで、前述の2つの価格モデルに加えて、新しいサーバーレスの価格モデルが、今後数か月でプレビューになる予定です。
サーバーレス価格モデルでは、トラフィックのバーストにオンデマンドで対応するため、スパイクのあるワークロードに対応可能です。プロビジョニングされたスループットではなく、実際に消費されたスループットに対して、課金されます。
Azure Private Linkは、Azure Virtual NetworkからAzureサービスへのプライベート接続を可能にするサービスです。
Azure Cosmos DBのAzure Private Linkサポートが、GAになりました。
- 更新情報「Azure Cosmos DB の Azure Private Link の一般提供が開始されました」
- ブログポスト「Azure Private Link for Azure Cosmos DB now generally available」
Azure Cosmos DBの保存時の暗号化で、これまでサポートされていたサービスマネージドキー(Microsoftが管理する暗号化キー)に加えて、カスタマーマネージドキー(お客様が持ち込んだ暗号化キー)のサポートがGAになりました。
- 更新情報「Encryption at rest with customer-managed keys on Azure Cosmos DB now generally available」
- ブログポスト「Enhanced encryption at rest with customer-managed keys」
Azure Cosmos DBで、のポイントインタイムリストア(PITR)が、今後プレビューになる予定です。
Azure Cosmos DB Python SDK バージョン4.0が、GAになりました。
Azure Cosmos DBの組み込みJupyter Notebook機能(プレビュー)で、これまでサポートされていたPythonに加えて、C#がサポートされました。
- 更新情報「New features for Azure Cosmos DB built-in Jupyter Notebook support」
- ブログポスト「Run C# notebooks with Azure Cosmos DB」
Azure Cosmos DBのの変更フィードで、今後数か月で、これまで含まれていなかった削除やすべての更新を含む、完全なデータベース操作履歴が含まれるようになる予定です。
Azure Synapse Link for Azure Cosmos DBが、パブリックプレビューになりました。これについては、「Azure Synapse Analytics」セクションで説明します。
- 更新情報「Azure Synapse Link for Azure Cosmos DB is now in preview」
- ブログポスト「Unlock near real-time, no-ETL analytics at scale with Azure Synapse Link for Azure Cosmos DB」
Azure Synapse Analytics:Azure Synapse Link
Azure Synapse Analyticsは、エンタープライズデータウェアハウスとビッグデータ分析を統合した分析サービスです。
今回、「Azure Synapse Link」が発表され、まず、Azure Synapse Link for Azure Cosmos DBがパブリックプレビューになりました。
Azure Synapse Linkは、クラウドネイティブのHTAP(ハイブリッドトランザクション/分析処理)を実装しています。HTAPは、トランザクション処理と分析処理との間の壁を取り払い、リアルタイムの分析を可能にするアーキテクチャです、Azure Synapse Linkを使うと、データの移動(ETL)をすることなく、Azure Synapse Analytics(SQLランタイム、Sparkランタイム、Azure Machine Learning、Power BIなど)から、オペレーションデータベースのデータを準リアルタイムで分析できます。
今後、Azure Cosmos DBに加えて、Azure SQL Database、Azure Database for PostgreSQL、Azure Database for MySQLなどのサポートも予定されています。
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