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FAudio「Scale」を聴く、有線イヤホンの醍醐味を実感できるクリアなサウンド

2020年05月04日 13時00分更新

文● ASCII

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質感の高い外観、音はクリアで豊富な情報を聞かせる

 実機を見てみよう。まずハウジングについては、つやのあるブラックに青くキラキラと輝くラメ入りのフェイス部となっており、好印象だ。軸の部分は太めになっており、大小2つの穴が空いている。内側にあしらわれた金字のScale Universal Fitのフォントについてもさりげないが、いいアクセントになっている。

 イヤーチップの交換による音質の差は確実にある印象。ちなみに、FA Instrumentはほかの2つに比べて若干軸が硬く、太めの軸に収めるのがちょっと大変だ。また、軸の部分にはガイドのようなものがないので、浅めにも深めにも付けらえる。このあたりは装着感など踏まえて選ぶといいだろう。

 3種類のうち標準的に使うのであれば、FA Vocal(黒のシリコン)がベストと思う。ボーカルの音が近く感じられ、反響やホール感などの再現に重要な高域の解像度も申し分ない。FA Instrument(白のシリコン)にすると、この高域の鳴りは少し控えめになるが、代わりに音源との距離感・音場の広さが増し、オーケストラの大太鼓の音といった低域がドスンと深く再生されるようになる。逆にフォームチップは、だいぶ高域に寄ったバランスとなり、やや腰高に感じる面もあるが、解像感が高く、音源の微細な情報まで細かく聞きたい際にいいと思った。

 Scaleの全体的な傾向としては、音楽を楽しく聞かせるリスニング寄りのチューニングだが、シャープで解像感の高い高域が、しっかりとした低域によって支えられた高水準なものと言える。中域をたっぷりというよりは、クールでハイエンドらしい情報量の豊富さを求めたい人に向いている。

 試聴にはAstell&Kernの「A&ultima SP1000M Gold」を使用した。この組み合わせでは、特に中高域の情報量の豊富さ、その変化を繊細にトレースする能力の高さを感じた。ここの部分は、10万円+αのクラスのイヤホンと比べても見劣りしないものではないだろうか。曇りが晴れたようなクリアなサウンドは、ここのところBluetoothイヤホンばかりを聞いていた耳には鮮烈で、改めて有線ハイエンドイヤホンの音の良さに感銘を受けた面がある。

 音の良さに加えて、付属品などの充実ぶりを考えると、3万円台半ばという価格はだいぶリーズナブルに感じる。アンプ出力が小さなエントリー機種でも十分にその実力は感じられるが、音質については、いいプレーヤーを使えばそれに見合っただけ向上する潜在能力の高さを持っているので、高級ハイレゾプレーヤーとの組み合わせもぜひ検討してもらいたいところだ。

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