27日に始まった、シャープの個人向けマスクの抽選販売に注目が集まるなか、IT/エレクトロニクス企業も相次いで、医療分野や社内向けマスクの供給、医療従事者向け支援策などを積極化している。また、3Dプリンタを製品化している企業ではこれを活用したマスクの提供も開始している。
IT/エレクトロニクス業界による新型コロナウイルス感染症に対応する医療現場への支援策が本格化してきたといえよう。
日本HPが同社の3Dプリンタで製造できる
フェイスシールドなどのデザインデータを公開
日本HPでは、同社の3Dプリンタ「HP Jet Fusion 3Dプリンタ」シリーズを活用して、緊急性の高い重要部品の製造を支援すると発表。3Dプリントが可能なデザインファイルを公開し、ダウンロードできるようにしている。
このなかには、フェイスシールドフレームやストップギャップフェイスマスクのほか、医療従事者の長時間マスク着用における耳の痛みを軽減する「マスクアジャスター」、白衣の袖と手袋の間の肌が露出した部分を完全に覆う「リストカバー」、汚染の可能性があるドアハンドルに触れることなく、さまざまなドアを開けられるように設計された「ドアオープナー」などがある。
さらに日本においては、HP Jet Fusion 3Dプリンタを活用して、マスクやフェイスシールドを生産し、これを提供する企業の動きも出ている。
ラピセラは、HPの3DプリンタであるHP Jet Fusion 5200を使用し、3Dプリントマスクの生産に乗り出しており、4月7日から義肢装具士を対象に配布を開始している。
PA12というナイロンの素材で生産。吸排気部を2層構造にし、穴が互い違いに配置されているため、穴が貫通せず、飛沫が勢いよく排出したり、吸引されたりしにくいという特徴を持つ。また、洗浄・消毒をすることで繰り返し使用することができる。なお、造形機の特徴により、色はグレーに限定される。義肢装具士の希望者には、枚数にかぎらず、送料負担だけで提供している。
また、DMM.comでは、HP Jet Fusion 3Dプリンタを使用して、フェイスシールドの部品を1万セット生産。4月22日から医療現場向けに無償提供を開始した。すでに、横浜市立大学附属病院に120個、横浜市立大学附属市民総合医療センターに120個のフェイスシールドを提供したという。提供するセットは、フレーム1個と、取り換え用フィルムシールド1枚で構成される。
同社は、DMM.make 3Dプリント事業を展開。石川県加賀市で、日本最大級を誇る3Dプリンタ工場を稼働させており、3Dデータに基づいて、部品などを自社工場で生産することが可能となっている。