拡張性に優れ、高性能なPCを作れるMini-ITX対応PCケースはそれほどめずらしいものではない。ただしサイズが大きめな高性能パーツを組み込むには、それなりのスペースが必要なこともあり、サイズはかなり大きめになる。「Mini-ITXらしいサイズ感を維持したまま」という条件付きだと、高性能PCを作るのはまだ難しいのだ。
こうした状況に一石を投じるのが、今回紹介するNZXTの「H1」である。幅18.7cm、奥行き18.76cm、高さ38.77cmというコンパクトなサイズながらも、最大で長さ30.5cmまでのビデオカードを組み込める。
また14cmクラスのラジエーターを採用する簡易水冷型CPUクーラーを標準で内蔵しており、高性能CPUにも対応できるという。今回は4月17日に発売されるこのH1の特徴やその構造、さらには気になる冷却性能について詳しく検証していこう。
マットな仕上げが美しい
CPUクーラーは組み込み済み
H1は、Mini-ITX対応のPCケースに、前述の簡易水冷型CPUクーラー、そして650WのSFX対応電源ユニットが組み込まれた、どちらかと言えばベアボーンPCにも似たPCケースだ。ユーザーはCPUとマザーボード、メモリー、ビデオカード、ストレージなどのメインパーツを用意して組み込めばいい。実売価格は5万5000円前後となる。
H1スペック表 | ||||||
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カラー | マットブラック、マットホワイト | |||||
サイズ | 187(W)×187.6(D)×387.7(H)mm | |||||
重量 | 6.53kg | |||||
対応フォームファクター | Mini-ITX | |||||
フロントポート | USB 3.0×1、USB 3.1 Type-C×1、ヘッドフォン/マイク端子×1 | |||||
ドライブベイレイアウト | 2.5インチベイ×2 | |||||
冷却ファン | ラジエーター部:14mmx1 | |||||
拡張スロット | 2スロット | |||||
最大ビデオカード長 | 305mm | |||||
対応電源ユニット | SFX(650W 80PLUS Goldモデルが装着済み) | |||||
実売価格 | 5万5000円前後 |
今回試用したマットホワイトモデルでは、天板と一体化した両側板は落ち着いた白、背面は黒、前面は強化ガラスで内部が見えるようになっており、非常にスタイリッシュ。前面の強化ガラスは濃いスモークがかかったタイプであり、組み込んだLEDの光が淡く漏れてくるさまが楽しめる。
幅と奥行きは20cmを大きく切っており、一般的な事務机の上に置いてもジャマにならない。マザーボードはインターフェース部分を下に向けて設置するタイプで、電源ケーブルの差し込み口も若干だが奥に設置されている。そのため、背面と壁の間にケーブルを引き回すためのスペースを確保する必要はない。
マットな質感とシンプルな色使いがなんとも美しく、天板のフロントポートの構成も最小限。素直に「格好いい!」と思えるデザインだ。側板や背面は外気を取り込みやすいメッシュ構造になっているが、これもデザインのアクセントになっている。
一通り外観を見たところで、側板などを外して内部の構造を確認していこう。前面パネルや背面、天板と一体化した側板はそれぞれ取り外しができる構造だ。
前面パネルと背面パネルは、下部に手を当ててゆっくり引っ張ると固定ピンが外れる。この2つを外してから、天板部分に手を当てて上に引き上げると、天板と側板が上にスライドして外れるという構造だ。
内部は、マザーボードを組み込むエリアと、ビデオカードを組み込むエリアの2つに分かれている。簡易水冷型CPUクーラーや電源ユニットは、すでに取り付け済みの状態だ。また電源ケーブルはおおむねフレームに沿って整理されている。
簡易水冷型CPUクーラーとそのファンは、側面のフレームにすでに取り付けられた状態だ。天板に近い部分にある2本の固定ネジを外すと、底面に近い部分のヒンジを中心にマウンタとCPUクーラーがスイングして開き、マザーボードベースにアクセスできる。