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ビデオ会議やチャットツール導入以前にすべきこと

会社が突然リモートワークになったら? セキュリティ企業が捉える働き方

2020年03月12日 17時00分更新

文● ASCII

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親の立場として休校について感じること

── 突然の休校となりましたが、お子さまとはどう接していますか?

青木 学校からは休み中の課題が出ていますが、時間割などが決まっているわけではないので、朝、みんなでご飯を食べているときに、作戦会議をするようにしました。子どもだけでなく、私や奥さんなど、みんなの予定を聞いて、今日は何をするかを確認したり、奥さんが子供の時間割を作ったりしています。結果、ふだんはなかなか話さないことまで共有できるようになりましたし、子供の勉強を見る機会も増えました。夜には、カードゲームを一緒にやりながら、コミュニケーションも取れたりもして、むしろプラスに感じる面が多い気がします。

── 学校がないことで、不安に感じられていることはありますか?

青木 家にずっといるというのは、子供にとってもストレスです。友達と遊ぶ機会は作るようにしたほうがいいと考えています。習い事も学校が休校になっていると基本的にできません。ただ、勉強については心配していません。飽きさせないのは親次第という面もありますし、月謝を払って人任せにするのではなく、親自身が子供と向き合ういい機会なのではないでしょうか。

 個人的に注目しているのは、この機会で、様々な講座をリモートで見られるようにするケースが増えていることですね。わが家でも、水族館にいけないから動画でみてみようといった形で、オンラインをきっかけに学ぶ機会を増やそうとしています。N高がオンライン学習アプリ「N予備校」を無償提供し、オンライン授業を3月1日から開放すると発表しましたが、こういった取り組みはもっと進めてほしいと思います

 一方で、親が子供にタブレットを渡す際には、決まった時間だけにする、あるいはペアレンタルコントロールを利用するなど、最低限のルール決めが必要かもしれません。

── お子様は小学3年生ということですが、自分で決めて進めるということは問題なくできていますか?

青木 自分で時間を決めてやらせるいい機会とも捉えています。ここは、低学年なのか、高学年なのかはあまり関係ありませんし、むしろ大人にこそ求められる要素ですね。テレワーク勤務なのに、出社するのと同じ午前9時~午後6時に働くのは正しいのか、という点から考え、決まった時間にパソコンの前にいればいいではなく、この時間でこの仕事を終わらせるといった、自分の仕事を管理することが重要なんじゃないかなと思います。

業務と日常コミュニケーションのメリハリが必要に

── テレワークでは自主性が求められる、と。同僚や部下と離れた場所で働くことで、きちんとできているか不安に感じることはありませんか?

青木 自分のチームの中では、テレワークだからこそ、より多くのコミュニケーションをとるようにしています。電話もするし、部門の中でSMSを交換できるグループを作り、「今週もよろしく、ね」とまめに声を掛けたり、仕事とは直接関係ないできごとでも簡単に報告したりするようにしています。離れた場所にいても、一緒に働いている雰囲気を作ることが大事だと思います。会社は人と人のやり取りが大事ですし、少し緩い部分がないと、コミュニケーションが薄くなると思います。

 当初は、チャットツールの利用も考えたのですが、弊社の場合、iPhoneが全員に渡されているので、ツールに振り回されるよりも、メッセンジャー機能でいいかなと考えました。リアルタイム性もあるし、グループも作れるので、業務連絡とは別に気付いた内容などを共有できるようにしています。

 コミュニケーションについては、業務的にセキュアにやるもののと、日常コミュニケーションに近い部分を敢えて分けて、メリハリを付けるといいと思います。そうしないと業務自体も緩くなってしまいますから。

ツール導入が目的になってはいけない

── どのようなツールを使うかは大切ですか?

青木 こういうときだから、ビデオ会議にしたらどうか、といった指摘が本社から来たりしますね。ただ、日本の場合、作業場がキッチンやリビングにならざるを得ない場合があって、家の中を見せたくないと相手が嫌がる場合も多いのです。

 また、在宅勤務になると、「この機会にチャットツールを導入しよう」「従業員の就業状況を把握できるシステムを入れよう」といった声が多く上がりがちですが、ツールが増えると、逆に混乱してしまう従業員も出てくるでしょう。冒頭でお伝えしたことにもつながりますが、ツールというのは、知らないうちに業務に取り込まれ、スムーズに受け入れられるものが一番いいのです。会社の規模や業種によっても、手段は変わってきますし、徐々にやっていいと思います。

 働き方が変わっていけば、業務効率を上げるための最適なシステムは何か、そして、誰にどんなアクセス権限を与えるか(どの情報を重要視して守るか)についての意識も芽生え、従業員自体の意識も改善もできるでしょう。

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