100倍ズームと108メガピクセル
史上最強のスマホカメラが爆誕
続いてGalaxy S20シリーズの機能説明が行なわれたが、その多くの時間はカメラの説明に費やされた。プレゼンテーション全体を通じても本体スペックの細かい話はなく、ユーザーにどんな体験を提供できるか、一貫してその話が展開された。Galaxy S20シリーズのSoCはSnapdragon 865またはExynos 990と強力だが、その話も一切されなかった。フラッグシップモデルに最新のSoCや大容量メモリーを搭載するのは説明するまでもなく「当たり前のこと」のようだ。
外観を見ると、Galaxy S20シリーズのカメラは従来のモデルとは異なるデザイン配置となった。それはカメラを長方形のモジュール上に搭載し本体背面の左上に配置されているのだ。Galaxy S20 UltraとGalaxy S20+は4つ、Galaxy S20は3つのカメラを搭載。フロントカメラは3モデルともシングルのパンチホールデザインとなり、ディスプレイ表示を極力遮らないデザインになった。
カメラ性能だけで言えば、たとえば1億画素カメラは先にシャオミの「Mi Note 10」が搭載している(モジュールは同じサムスン電子製)。しかし、Galaxy S20シリーズは高画質なカメラを使った新しい機能を搭載することで、カメラ性能を十二分に活用することができる。
高倍率ズーム機能の「Space Zoom」は何気なくカメラを向けた被写体の背景に気になる部分があれば、そこを一気に拡大して撮影できる。他社のスマートフォンではなかなかできないズーム倍率を手軽に楽しめるのだ。また写真の代わりに10秒の動画を撮り、撮影後にAIが自動的にSNS映えしそうな写真や動画を10数枚自動生成してくれる「Single Take」は、スマートフォンのカメラの使い方を大きく変えそうだ。
そして8Kビデオの撮影も3機種共通のカメラ機能だ。録画したビデオクリップのファイルサイズは大きくなってしまうものの、簡単に解像度を変更したり、あるいはビデオから写真をワンタッチでキャプチャーもできる。8Kビデオの再生はまだサムスン電子の8K TVなど環境が限られるものの、5G時代になればいずれ8K動画の利用も当たり前になっていくだろう。それにしてもスマートフォンの発表会でここまで8Kが当たり前の機能として説明されるとは、技術進歩の早さに改めて驚かされる。
さてGalaxy S20 Ultraは108メガピクセル(1億800万画素)のワイドカメラと、デジタル100倍ズームに対応した48メガピクセルのペリスコープカメラという、2つの「100カメラ」を搭載する。100倍ズームのSpace Cameraは、画質が荒くなるもののディテールを見る分には充分。一方108メガピクセルカメラは何気なく撮影した写真の一部を拡大し、そこから切り取っても十分な画質の絵が得られる。これまたスマートフォンカメラの概念を大きく変えるものになるだろう。
他にはハイスペックなゲームにも対応すべく、120Hzのリフレッシュレートを持つディスプレーを搭載。メモリーは最大16GBでサムスンの高速なLPDDR5を搭載している。またGoogle Duoが統合され、手軽にビデオ通話ができるだけではなく、通話中の相手の会話をリアルタイムでテキスト化し画面に表示するライブキャプションが利用できるようになった。ヘッドセットが無い場合でもスムースなコミュニケーションが図れるだけではなく、聴力の弱い方でもビデオ通話で相手の顔を見ながら楽しく会話できる。
これだけハイスペックなカメラを搭載する5GスマートフォンであるGalaxy S20シリーズ。ノ・テムンCEOが最後に登壇して3機種の価格を発表した。Galaxy S20は999ドル、Galaxy S20+1199ドル、Galaxy S20 Ultraは1399ドル。昨年のGalaxyリーズよりも価格はあがっているが、5Gモデルで高性能なカメラを搭載していることから妥当な価格と言えるだろう。Galaxy S20は5G対応ながら1000ドルを切る、意欲的な製品でもある。そして価格が発表された時には会場内のボルテージが最高潮に達した。誰もがこの全く新しいカメラフォンを今すぐ手にして試したいと思ったのだ。
この後にはもう1製品をサプライズとして紹介。Galaxy S20+の5G対応かつオリンピック限定バージョンが発表された。オリンピック開催国であり、5Gも始まる日本で発売されることは間違いなさそうだ。
サムスン電子の新製品発表会「Unpacked」は毎回毎回、さまざまな趣向を凝らして来場者を飽きさせない。今回のGalaxy Z Flip、Galaxy S20シリーズの発表会は、それぞれの製品特徴を簡潔にわかりやすく説明し、なおかつ驚きを与え続けてくれるという素晴らしいものだった。
登壇デビューをはたした新CEOのノ・テムン氏が最後は満面の笑みを浮かべてステージから降りたのも、新製品の魅力を思う存分来場者に伝えることができたと感じたからだろう。これらの素晴らしい製品を、日本の消費者にも早く送り届けてほしいものだ。
Galaxy S20 | Galaxy S20+ | Galaxy S20 Ultra | |
---|---|---|---|
メーカー | サムスン電子 | サムスン電子 | サムスン電子 |
ディスプレー | 6.2型有機EL | 6.7型有機EL | 6.9型有機EL |
画面解像度 | 1440×3200ドット | 1440×3200ドット | 1440×3200ドット |
サイズ | 69.1×151.7×7.9mm | 73.7×161.9×7.8mm | 76×166.9×8.8mm |
重量 | 約163g | 約186g (5Gミリ波版188g) |
約220g (5Gミリ波版222g) |
CPU | Snapdragon 865/Exynos 990 (オクタコア) |
Snapdragon 865/Exynos 990 (オクタコア) |
Snapdragon 865/Exynos 990 (オクタコア) |
内蔵メモリー | 8GB/12GB(LTE/5G) | 8GB/12GB(LTE/5G) | 12GB/16GB |
内蔵ストレージ | 128GB | 128GB/128、256、512GB(LTE/5G) | 128/256GB (メモリー12GB版) 512GB (メモリー16GB版) |
外部メモリー | microSDXC (最大1TB) |
microSDXC (最大1TB) |
microSDXC (最大1TB) |
OS | Android 10 | Android 10 | Android 10 |
無線LAN | 802.11 a/b/g/n/ac/ax (2.4/5GHz対応) |
802.11 a/b/g/n/ac/ax (2.4/5GHz対応) |
802.11 a/b/g/n/ac/ax (2.4/5GHz対応) |
カメラ画素数 | リア:12M(超広角、F2.2)+12M(標準、F1.8)+64M(望遠、F2.0) /イン:10M(F2.2) |
リア:12M(超広角、F2.2)+12M(標準、F1.8)+64M(望遠、F2.0)+ToF /イン:10M(F2.2) |
リア:12M(超広角、F2.2)+108M(標準、F1.8)+48M(望遠、F3.5)+ToF /イン:40M(F2.2) |
バッテリー容量 | 4000mAh | 4500mAh | 5000mAh |
防水/防塵 | IP68 | IP68 | IP68 |
カラバリ | Cosmic Gray、Cloud Blue、Cloud Pink | Cosmic Black、Cloud Gray、Cloud Blue | Cosmic Black、Cloud Gray |
価格 | 999ドル (約10万9700円) |
1199ドル (約13万1700円) |
1399ドル (約15万3600円) |