2月4日より沖縄県にて「観光型MaaSの社会実装に向けた実証実験」が、KDDIおよび沖縄セルラー、沖縄セルラー アグリ&マルシェ、日本トランスオーシャン、沖縄都市モノレール、沖東交通事業協同組合、沖縄ITイノベーション戦略センター、Japan Taxi、ナビタイムジャパンが共同でスタート。同日には那覇空港にて記者向けの発表会が開催された。
ひとつだけで沖縄観光を提供するMaaSアプリ
今回の実験では、観光型のMaaS専用アプリ「沖縄CLIPトリップ」をリリース。観光客が沖縄の公共交通機関やタクシーを使ったスムーズな移動を実現し、さらに観光地や飲食店などの紹介と結びつけることで、ひとつのアプリで観光に必要な情報を提供できるようになっている。
発表会に登壇した沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「沖縄は二次交通の問題が非常に大きく、路線バスの利用率が極端に少ない。一方でレンタカー業者は11年間で2.8倍にも増加しており、タクシーの利用率も高い」と話しており、那覇などの都市部では、東京や大阪なみの道路の混雑率になっているとのこと。そのため、観光客をバスやゆいレールへ誘導することは、大きな課題解決になるわけだ。
そこで「沖縄CLIPトリップ」にはまず、ゆいレールの1日乗り放題チケットが用意されている。アプリにクレジットカードを登録しておけばアプリから購入可能で、通常800円が400円と半額で購入できるのもポイント。購入したチケットは、24時間のカウントダウンが表示された画面となり、ゆいレール乗車時は有人改札で駅員に画面をチェックしてもらう方式。QRコードや非接触通信といった機能は使われていない。
さらにJapan Taxiとの連携で、タクシーの配車にも対応。現在位置から目的地までの設定ができ、さらに利用時には300円の割引も用意されている。沖縄は初乗り料金が他県と比べると安いため、こちらもおトクに利用できるわけだ。
グルメ情報では、食べログと連携しており、地図画面で店舗を探せるだけでなく、予約まで対応。ルート検索では、バスを使ってのルートやタクシーの配車といった機能も連携しているので、沖縄の地理に詳しくない観光客でも安心して移動できるようになっている。
実証実験は3月31日までの約2ヵ月間と短いが、今回の結果によっては、さらにサービスを充実させて事業化も視野にいれているとのこと。現在は日本語のみだが、今後は外国人観光客に向けたマルチ言語化なども課題となっているという。
8KのVR映像で在りし日の首里城を再現
さらにKDDIと沖縄セルラー アグリ&マルシェ、日本トランスオーシャ、JTB沖縄は、8Kクオリティーで360度撮影した首里城のVRコンテンツを作成。那覇空港や首里城公園などでVRゴーグルを使って映像を楽しめるブースを2月4日から順次設置している。
今回コンテンツとして使われている映像は、首里城が焼失する2ヵ月ほど前に沖縄県の「令和元年度世界文化遺産プロモーション事業」として撮影していた素材。今回は首里城をメインに再編集して3D VRコンテンツとして提供されている。
ブースに設置されているHMD(ヘッドマウントディスプレー)は「Pico G2 4K」。左右に4Kパネルを使った8K対応モデルのため、8Kで撮影された映像が精細に再生できる。筆者も実際にPico G2 4Kで今回のコンテンツを視聴してみたが、数年前にみた首里城がしっかりと再現されていた。
動画はYouTubeでも公開されているので、自前でYouTubeを再生できるHMDがあれば閲覧可能。首里城の再建や見学の再開などはまだ未確定のことも多く、当面はこういった技術を使っての観光案内などがメインとなりそうだ。