フェイスブックは人工知能(AI)を用いて事実を歪曲した動画、いわゆるディープフェイクを削除すると発表した。フェイスブックのグローバルポリシー管理担当モニカ・ビッカート副社長はブログ記事で、「平均的な人にとって明白ではない」形で誤解を与えるような編集がされた動画を削除すると述べている。だが、この新しい方針はパロディや風刺目的の動画、あるいは発言を省いたり順番を変更えたりしただけの動画には適用されない。
フェイスブックはこの新ルールで、大幅な責任逃れの余地を残している。たとえば、昨年夏に大きな注目を集めたナンシー・ペロシ下院議長の動画は禁止対象にならない。この動画は(AIを使わずに)編集されており、ろれつが回っていないかのように聞こえるよう改ざんされていた。おそらく、簡単に入手できるツールを使って編集されたこの種の「シャロー(shallow=浅い)フェイク」動画が、2020年の米国大統領選挙では、政治家にとってより大きな脅威になるだろう。だが、シャローフェイクに対して、どのように対処すべきなのだろうか? あるシャローフェイクをコメディだと決めるのは誰なのだろうか?
ではフェイク動画はどうだろうか? フェイスブックによると、ファクト・チェッカーが偽物だとフラグを立てた動画については削除ポリシーを適用しない。そうした動画は「インターネット上のあらゆる場所で閲覧でき」、人々に「重要な情報やコンテキスト」を提供するからというのがその理由だ。だが、またもやフェイスブックはコンテンツ・モデレーションの問題をはぐらかそうとしているようだ。