この数十年で最悪の森林火災が数カ月間に渡ってオーストラリア全土でいくつも発生し、高温、乾燥、強風といった気象条件と地球温暖化によって状況は悪化している。2018年に米国カリフォルニア州で発生した火災では約8000平方キロメートルの森林が焼失したが、今回のオーストラリアの火災では現時点で約6万平方キロメートルもの土地が焼けた。だが、この火災の本当の規模を視覚的に捉えるなら、宇宙から見ることが重要だ。1月4日に撮影された米国航空宇宙局(NASA)の画像には、オーストラリア東岸から立ち昇る煙が写っている。
人工衛星は僻地で発生した森林火災を最初に発見する手段となることが多い。カメラやライダー(LIDAR:レーザーによる画像検出・測距)、赤外線センサーを使用して火災の規模を把握し、正確な発生位置や、火災によって生じる煙の方向などを捉えるのだ。NASAは地球観測用の人工衛星群を擁しており、静止軌道上にある衛星が5分~15分ごとに画像を提供している。広大な領域を通り過ぎながらスナップショットを撮り、一度に最大1キロメートルの地域を観測。アルゴリズムが赤外線データを使って火災の有無を検知し、1キロメートルごとに調査した上で「火災」「非火災」「雲」「水」「データ不明」「未詳」といったグループに分類する。このデータは世界中の火災管理当局へ送られ、消火活動や被害規模の評価に使用されている。
一方、こちらの火災画像は、12月以降に火災の影響を受けた地域を視覚化したものだ。写真家のアンソニー・ハーシーが、2基の人工衛星がとらえたデータを3時間以内に送信するNASAの「FIRMS(Fire Information for Resource Management System)」の12月から1月5日までのデータを使って作成した。
雨や気温の低下によって、先週末にかけてオーストラリア南東部の火災は一時的に小康状態になった。だが、今週末には再び気温は上昇する見込みだ。