ケースをCoolerMaster製の「Silencio S400」にリニューアルした「G-Master Spear Mini III」
静音にこだわりぬいたゲーミングミニタワーPC、裏配線も拡張性も優秀
2019年12月19日 09時00分更新
サイコムのゲーミングパソコン「G-Master Spear Mini」シリーズは、今年10月にケースを刷新し、CoolerMaster製の「Silencio S400」を新たに採用。通気性に優れ、ケース内部に熱がこもらないよう設計されているのは当然だが、フロントパネルやサイドパネルに防音材が配置されており、静音性へのこだわりも更に一歩踏み込んだ物となっている。
今回、同シリーズの中から「G-Master Spear Mini III」の評価機が借りられたので、このマシンについて詳しくチェックしていこう。
G-Master Spear Z390-Mini III | ||
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試用機のスペック | 標準スペック | |
CPU | Core i7-9700K(3.6GHz、8コア/8スレッド) | Core i5-9600K(3.7GHz、6コア/6スレッド) |
グラフィックス | MSI GeForce RTX 2060 SUPER GAMING X | MSI GeForce RTX 2060 AERO ITX 6G OC |
メモリー | 16GB(8GB×2) | 8GB(4GB×2) |
ストレージ | G-Master Spear Z390-Mini III | |
マザーボード | ASRock Z390M Pro4 | ASUS TUF Z390M-PRO |
価格 | 21万640円 | 17万6690円 |
正面に騒音を漏らさないフロントカバー
「G-Master Spear Mini III」を見てまず気づくのが、フロントカバーは装飾がほとんどない一枚板で、驚くほどシンプルなものとなっていることだ。吸気は本体とフロントカバーとの隙間から行われるようになっているため、こういったデザインが可能となっている。
フロントカバーを開くと、大きな吸気口を守るフィルターが現れる。このフィルターは簡単に取り外せるので、ホコリが付着してもすぐに洗えるのがうれしい。また、フロントカバーの内側には防音材が貼られており、騒音が正面に漏れるのをしっかりと防いでくれている。
通気性を重視するならメッシュ状のフロントのほうが有利だが、内部の騒音がストレートに正面へと漏れてくるため、その分うるさく感じてしまう。これに対しG-Master Spear Mini IIIは、いったんフロントカバーで騒音を遮ってくれるため、同じパーツ構成であってもかなり静かに感じられる。
吸気口はフロントだけかと思いきや、実は底面にも装備している。ただしこの吸気口は、電源専用。ケース内部に冷たい空気を取り込むのはフロントだけとなる。
サイドパネルの内側にも防音材を貼り、ビビリ音などを防ぐ
本体向かって左側面はガラスパネルだが、右側面は金属パネルとなっている。このサイドパネル、薄い金属製のものだと振動で共振してしまい、思わぬ騒音源となってしまうこともあるのだが、G-Master Spear Mini IIIの場合は防音材が大きく貼られており、こういった振動に強いわけだ。
軽く指で叩いてみるとよく分かるが、薄い金属板を叩くような「カンカン」という音の響きはなく、重量感のある壁を叩いているかのような、「コッコッ」という音しかしない。内部の音漏れ、そして共振によるビビリ音の両方を防いでくれているのがよく分かる。
上面はメッシュとなっており、熱が逃げやすい構造だ。いくらエアフローに気をつけた構成にしても、熱はケースの上面に溜まりやすいだけに、よく考えられたデザインといえるだろう。更に強力に排熱したい場合は、この上面部分にケースファンを取り付けるといいだろう。
サイコムが得意とする裏配線により、ケース内部はスッキリ
気になる拡張性も◎
組み立て品質の高さがサイコムの隠れた魅力。この「G-Master Spear Mini III」でも不要なケーブルを内部に残さない裏配線の活用が徹底されており、ケース内は非常にスッキリしている。
ケース内部がスッキリするとなにがいいかといえば、通気性が改善されること。とくにG-Master Spear Mini IIIのようなミニタワーPCでは、ケース内部に占めるパーツの体積が大きく、熱が逃げにくい吹き溜まりのような場所ができてしまいがちだ。こういった場所を極力なくすためにも、ケース内の通気性が重要となる。
CPUから出た熱をケース外へ排出するための工夫としてあるのが、サイドフローのCPUクーラーと、ケースファンの位置を合わせることだ。うまく合わせることでCPUクーラーから出る熱風がケース内に拡散されずに、そのままケース外へと運ばれる。
このことを念頭に置きながらもう一度ケース内を見ると、ケースファンの位置がちょうどCPUクーラーの位置に合うよう調整されているのがわかるだろう。このあたりが、自作PCを多く手掛けるサイコムのこだわりといえる。
マシンの内部でチェックしておきたいのが、ドライブベイの存在だ。最近ではSSDはPCIe接続のものを採用することが多く、そして光学ドライブを搭載しないマシンも増えているため、ケースによっては3.5インチと5インチベイを装備していないものまである。もちろんそういったケースでも困ることは少ないのだが、拡張性という面を考えれば不安が残るのも事実だ。
G-Master Spear Mini IIIの内部を見ても3.5インチベイはないように思えるが、実は、右のサイドパネルを開けたところに3.5インチのシャドウベイが装備されている。大容量HDDを増設したいといったときは、このベイを使うといいだろう。
最近の製品として珍しいのが、フロントカバー内に5インチベイを1基装備している点だ。最近では5インチベイそのものがないケースも多いだけに、これはうれしい部分だろう。標準でDVDマルチドライブが搭載されているが、これをなくしてHDDのリムーバブルケースを取り付けるのもいいし、その他自分が手元で使っているデバイスを装着するのもありだ。
ちなみに標準装備のDVDマルチドライブはBTOで「なし」に変更可能で、この場合、2050円安くなる。
しっかりと拡張性が確保されたミニタワーパソコン
リニューアルにより大きく外見が変わったG-Master Spear Mini IIIだが、空冷クーラーの性能を最大限まで引き出すためのエアフロー重視、そしてこだわりのパーツ選びといった部分は変わりない。それでいて、静音性や拡張性は犠牲にならず、しっかりと確保されているのがうれしいところだ。次回はG-Master Spear Mini IIIの実力を、各種ベンチマークテストで探ってみよう。