業務を変えるkintoneユーザー事例 第66回
全国のkintone hiveで選ばれたファイナリストが頂上決戦
もっともインパクトのある業務改善は?「kintone AWARD 2019」開催
2019年11月12日 09時00分更新
ソサイエティ5.0に向けてkintoneでオフィスレス化に挑む
3番手は、お掃除でつくるやさしい未来 代表取締役 前田雅史氏。同社は、マンションなどの清掃業務を請け負っている企業で、1999年に創業。現在は、本社がある福岡県から始まり、佐賀、大阪、兵庫、埼玉、宮城にまで展開している。しかし、オフィスがあるのは福岡だけ。他の地域にはオフィスがないのだが、そこをkintoneでつないでいるのだ。
お掃除でつくるやさしい未来 代表取締役 前田雅史氏
掃除業務はモチベーションが仕上がりに影響を与えるそうだが、ひとりで行うので孤独感があるという。そこで、kintoneにより、人と人とが繋がり、コミュニケーションすることで品質の高いサービスを提供する仕組みを構築している。
一般的な掃除事業だと、紙の報告書をクライアントに提出するが、その場合は掃除をする人のことを「お掃除のおばちゃん」「掃除の人」と呼ばれてしまうそう。しかし、kintoneアプリにクライアントにも入ってもらうことで、直接スタッフの名前で呼びかけられるようになったという。当然、モチベーションもアップする。
kintoneアプリに顧客まで入ってもらうことで、名前で呼びかけてもらえるようになった
クラウドでコミュニケーションすることで、同社のスタッフ同士も距離を感じていないという。2013年にクラウドを導入してから、稼働地域数は11地域、雇用者数は全国75名、清掃契約棟数は700棟にまでビジネスが拡大した。めざましい効果と言えるだろう。
2013年にクラウド化してから稼働地域は11倍、雇用者数は3倍に増えた
4月のkintone hive fukuokaで前田氏は、遠隔地でコミュニケーションしてビジネスを行う環境とスキルがあるのだから、オフィスレスは可能だと言っていたが、その後実際に有言実行した。前回のkintone hiveに登壇した2週間後に本社を解約したそう。とはいえ、まだ完全にオフィスレスにはなっていないそう。
「オフィスがあるときには、ペーパーレストかキャッシュレスとかに不自由を感じていなかったので、取り組んでいませんでした。オフィスがなくなったときに、初めてペーパーレスやキャッシュレスの必要性を痛感しました」(前田氏)
そこで、kintoneアプリで短時間で荒くてもいいから、ペーパーレスとキャッシュレスに向けたアプリを作り、改善に取り組んでいるという。
「ソサエティ5.0ではいろいろなものの価値観が変わると思います。僕たちの会社で朝礼するときに日本各地のお母さんがテレビ電話で入ってきます。家からなので、子供もテレビ電話に入ってきます。そんな子供にとって、親の働き方がスタンダードになります。その子供が大人になったときに、いや会社なくても問題ないよね、と選択肢が広がると思います。だから、僕たちはあえて、オフィスレスに挑んでいきたいと思っています」と前田氏は語った。
宣言通り、オフィスレス化にチャレンジした
ペーパーレス化とキャッシュレス化にもチャレンジ中
運用アプリには責任者を設けて安心して使い続けられる体制を構築した
4番目に登壇したのは、ジヤトコ株式会社 情報システム部 岩男智明氏。ジヤトコは自動車の変速機を製造しており、2019年3月時点で累計4400万台を出荷する世界No.1メーカー。従業員は国内10拠点、海外8カ国13拠点に1万4800人というグローバル企業だ。
ジヤトコ 情報システム部 岩男智明氏
同社は、700社にもおよぶサプライヤーとビジネスをしているが、それぞれの企業の情報を集約する業務が負担になっていた。従来は、Excelの調査票をメールで送り、受信した相手はExcelをダウンロードして、記入し、メールで送り返す。返ってきたファイルをサーバーに保存し、集計を行うという手間がかかっていたのだ。期限までに回答してくれないところには、催促するという手間も発生する。
そこで同社はkintoneを導入。トヨクモのフォーム作成ツール「フォームブリッジ」で作成した質問票のURLをメールで送信し、返信があればリアルタイムでkintoneに反映されるようになった。リードタイムが大幅に改善したうえ、データを集約する手間からも解放された。
Excelでは詳しい人がマクロを使って便利なシートを作ると、他の人もコピーして使い始めるが、作った人が辞めると改善できなくなったり動かなくなって困ってしまうことがある。これは、作り込んだkintoneアプリでも同じ状況に陥る可能性がある。
そこでジヤトコでは、アプリの保守責任者を設定した。トライアルのアプリは誰でも作成できるが、ビジネスで利用する際は申請が必要になる。その際に、責任者を明確にして、管理させるようにしたのだ。機能拡張の保守にも手間がかかるがこちらはJavaScriptでの個別開発を禁止した。プラグインを利用することで保守をその企業に任せるようにしたのだ。
アプリの運用ルールを明確に定めた
アプリはスペースの中に作り、本番アプリの作成には申請が必要とした
「ユーザーが混乱せず、安心して使い続けられる体勢を作ることが重要です。それには、サービスに精通したパートナー会社と共に、運用ルールを整備することがお勧めです」と岩男氏は語った。
安定して使い続けられるkintoneの構築が重要になる

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