「ハッカー」自体に悪い意味があるわけじゃない
あなたが「ハッカー」と聞いたとき、イメージすることはなんだろうか?
日本でハッカーというと、企業のサイトなどに不正にアクセスしたり、コンピューターウイルスをばらまいたりする人たち、というイメージが持たれているかもしれない。ドラマや映画などでも、そのように描かれてしまいがちだ。
しかし、もともと「ハッカー(hacker)」は、コンピュータ技術に関する高度な知識とスキルを持つ人のことをいう。
技工系の文化として、「ハック」という言葉が使わることがある。「hack」は、切りきざむ、叩き切る、といった意味合いを持つ。転じて、コンピュータのシステムや、ソフトウェアなどを詳細に分析し、さまざまなプログラムの改良や改変などをして「切り拓く」意味合いを持つようになった。
たとえば集中的に作業をするソフトウェア関連プロジェクトの「ハッカソン(hackathon)」は、ハックとマラソン(marathon)を合わせた言葉だ。また「ライフハック(LifeHack)」のハックは、ハッカーのハックと似たような意味合いでもある。こちらはどちらかというと、「意外な点を見つけて便利にする」という意味合いではあるが、言葉の出どころは同じといってよいだろう。
ハッカーという言葉に対し、コンピュータを使って悪事をはたらく人間をクラッカー(cracker)と呼んで区別しようとする動きもあるが、なかなか広まっていない面もある。ハッカーという言葉のほうが認知度が高いため、サイバー攻撃に対して、政府機関や民間企業などの防衛に従事する人材を、「ホワイトハッカー」と呼ぶ使われ方もある。
ハッカーについて悪い印象を持っている人も少なくないかもしれない。しかし、もともとは、犯罪者のことを指している用語ではないことは、覚えておいてもよいだろう。
「ハッキング」という言葉も、コンピューターに詳しい人間によるエンジニアリングを指す言葉であり、悪意を持った行為のみに限定されるわけではない。IT機器やプログラミングを熟知し、そこに存在する脆弱性を発見していく。それをメーカーなどに知らせて対応をうながすハッカーもいれば、悪用して犯罪に手を染めるハッカーもいる、というわけだ。