経営コンサルティングの船井総合研究所(以下、船井総研)がkintoneを用いた業務パッケージを作っている。弁護士事務所へのkintone導入からスタートし、社内ベンチャーとしてkintone事業を立ち上げた同社の神徳あや氏、一緒にタッグを組んで士業向けkintoneの市場を展開するサイボウズの別府さおり氏に話を聞いた。(以下、敬称略 インタビュアー アスキー編集部 大谷イビサ)
2週間でできたプロトタイプとプレゼンが弁護士事務所に採用
大谷:まずは神徳さんがkintoneに関わるようになった背景を教えてください。
神徳:もともと弁護士事務所の経営コンサルタントをしていましたが、船井総研には他にも弁護士のコンサルタントはいたので、自分の強みを持ちたいと思いながら仕事をしていました。でも、経営コンサルタントとしてクライアント企業の悩みをいろいろと聞く中で、ITツールを活用すれば解決できる課題もたくさんあることがわかり、ITツールの活用方法も自分のクライアント様にお伝えしていました。
大谷:なるほど。もともとITは強かったのですね。
神徳:はい。私自身、Windows 95が発売された当初からパソコンを触っているような子供だったので、ITツールが大好きでしたし、自分の得意分野でお客様に喜んでもらえてとてもうれしかったですね。こうした取り組みが成果を生み、他のコンサルタントのクライアント様にも紹介してほしいという話をもらうようになりました。そこで、弁護士事務所様に集まっていただく勉強会の場で事例発表をしていたところ、「ITに強い神徳」というのが定着し、弁護士コンサル×ITが私の強みになりました。
ただ、弁護士コンサルとして2年半経った頃に産休に入ることになりました。産休に入る際に自分自身のクライアントを後輩に引き継いでいたので、復帰するときにはクライアントが半分になっていました。今までのコンサルタント業務をしながら子供を育てていくのは難しいなと思って、これからどうしていけばいいかといろいろ考えていた頃に、上司のコンサルティング先から「システムをクラウド化してもらいたい」という案件が私指名で来たんです。弊社のクライアント企業の中でも注目度の高いいわばVIPのお客様でした。
大谷:ご指名はすごいですね。ITに強いブランディングが功を奏したんですね。
神徳:さっそくヒアリングしてみたら、今使っている弁護士向けのパッケージはオンプレミスで動いていて、あと少し人数が増えたらシステム動かなくなるので、サーバーを追加する必要があるとベンダーさんに言われていました。今後も人数を増やしていく予定だったので、人数が増えるたびにサーバーを増やすのは大変です。
あと、オンプレミスだと外部からのアクセスが難しいという課題がありました。弁護士の先生は裁判所にも行くし、社外での打ち合わせも多いので、外部から簡単にアクセスしたいという要望がありました。機能的には問題がなく使えているので、弁護士パッケージを作っているベンダーさんにクラウド化する予定はあるのかを聞いてみたそうなのですが、予定がないと言われたそうで、私に相談がきました。
大谷:業務向けのオンプレパッケージはなかなかクラウド化しないですよね。まさにクラウド移行あるあるですね。
神徳:はい。そこで弁護士向けのサービスも含めて、複数社からクラウドサービスについて話を聞いてみたところ、お客様も求めている機能と価格の条件に合うのがサイボウズのkintoneと別のクラウドサービスでした。両社に対して、クライアント企業が求める機能を具体的に相談をさせていただいたところ、ここにいるサイボウズの別府さんの上司の谷口さんが、もともと使われていたオンプレ型の弁護士パッケージをkintoneで実現して、お客様先でデモを披露してくれました。
別府:お客様の問い合わせに対応するローテーションの日がたまたま谷口で、社内SEが2週間でプロトタイプを作ってくれたんです。
神徳:で、デモを見たお客様は「これがほしいです」と即決したので、そのデモ版を利用し、お客様の要望を聞いてカスタマイズをしていきました。私自身、kitnoneを使ったことがなかったので、サイボウズさんにかなりお世話になりながらのカスタマイズでしたが、そのデモの日から1ヵ月ほどである程度完成し、めでたく本導入となりました。
大谷:ユーザーを巻き込んでスピーディに作っていくのが、いかにもkintoneらしいですね。
神徳:その後、弁護士事務所様の勉強会でカスタマイズ開発をいっしょにしてくれたお客様が事例を発表してくれたのですが、そこでkintoneの説明をしてくれたのが別府さんです。忘れもしません。2016年5月28日が別府さんと初めて出会った日になります。
正直、はじめは谷口さんがやってくれないかなと。お客様が目の前で即決したプレゼンをもう一度やってほしいと思っていたので。でも、その日の別府さんのプレゼンは完璧。谷口さんが任せた理由がわかる見事なプレゼンでした!
別府:(笑)。私もパートナービジネスの営業を担当してもう6年目だったので、どう伝えたらよいかはある程度自信はあったのですが、弁護士さんには会うのも初めてでした。でも、谷口や神徳さんからあらかじめ弁護士さんのビジネスや課題をいただいていたので、うまく説明できたと思います。
この連載の記事
-
第10回
デジタル
サイボウズ松井隆幸は、いかにして「キンスキ松井」になったのか? -
第9回
sponsored
IoTも得意なジョイゾー山下竜氏、70日間の北米勤務で見たモノとは? -
第8回
sponsored
M-SOLUTIONSの植草氏とkintoneやSI事業、Pepperまで骨太に語ったよ -
第7回
sponsored
kintoneにもコスプレにも本気で向き合う池上緑は悩んでいる -
第6回
sponsored
新しいWeb制作会社を目指す谷口氏が見たkintoneの価値とは? -
第5回
sponsored
kintone Caféの創始者ラジカルブリッジ斎藤氏が実践する「俺流」 -
第4回
sponsored
定額制SIにチャレンジするジョイゾー四宮夫婦のkintone夫婦善哉 -
第3回
sponsored
障害者でもアイデアを形にできるkintone、仙拓の松元氏が語る -
第2回
デジタル
普通の受託開発会社をクラウドダイブさせる金春氏にとってのkintone -
第1回
sponsored
日本発グローバルの業務改善クラウド「kintone」の5年を伊佐PMに聞く - この連載の一覧へ