アマゾンの称賛されるべき「気候変動対策の誓約」は、気候会計にも相当するようだ。 同社の宣言は、世界最大規模の気候変動に対する抗議運動の前夜に発表された。
アマゾンのジェフ・べゾス最高経営責任者(CEO)は9月19日、2024年までに同社の電力需要の80%を再生可能エネルギーの購入または施設建設で賄い、2030年までにその割合を100%にするとの誓約を発表した。2040年までには、すべての事業で二酸化炭素排出を廃止または相殺する計画だ。目標の達成に向けてアマゾンは、リビアン(Rivian)から輸送用電気自動車10万台の購入を決めた。アマゾンが資金援助しているがまだ車両の出荷にこぎつけていないスタートアップ企業にとって、かなり大規模な注文だ。また、アマゾンは森林や湿原など、温室効果ガスの回収と貯蔵に役立つ生態系の回復と保護に1億ドルを拠出するとしている。
9月20日の気候変動に対する抗議運動では、全世界で数百万人規模の人々が仕事や学校に行くのをやめ、デモ行進に参加すると予想されている。シアトルやシリコンバレーの巨大テック企業からも、数千人がこの運動に参加する見込みだ。
アマゾンの計画はおおむね賞賛をもって迎えられたが、相変わらず罠は細部に潜んでいる。実際に使用されている化石燃料由来の電力を相殺するために太陽光や風力由来のエネルギーに投資するという計画の一部は、気候会計として却下される可能性がある。さらに、航空機の使用をはじめとする大量の二酸化炭素排出を伴う事業活動による排出量を相殺する「森林カーボン・オフセット」を正確に測定することは極めて難しい。
アマゾンの従業員が組織する気候変動活動団体である「気候の公平性を求めるアマゾン従業員の会(Amazon Employees for Climate Justice)」は、今回の誓約を「大勝利」として高らかに伝えつつも、取り組みの内容は十分ではないと訴えた。「化石燃料の探掘と採掘を進める石油・ガス企業への支援、気候変動を否定する政治家やシンクタンクへの寄付、気候変動難民の弾圧などにアマゾンが加担している限り、私たち従業員は声を上げ続けます」と同団体は述べている。9月20日のストライキには1500人以上のアマゾン従業員が参加する。
グーグルもまた、カーボン・オフセット活動に賛同している。風力発電や太陽光発電などの新たな電力インフラに20億ドル以上投資することを宣言し、世界最大級の再生可能エネルギー購入企業の1社としての地位を築いている。同社は2007年からカーボン・ニュートラルを公言しているが、実際には依然として環境汚染を伴うエネルギー源に依存している。今回のアマゾンの誓約が、依存の低減を後押ししてくれるはずだ。
グーグルとマイクロソフトの従業員も、気候変動ストライキへの参加を表明している。