ソーシャル・メディアの利用時間やテレビの視聴時間は、8歳から19歳までの子どもたちのうつ病と以前から関連づけられてきた。だが、新たな調査結果は、すべてのスクリーン・タイム(画面閲覧時間)がうつ病を引き起こすわけではないことを示している。
モントリオール大学のパトリシア・コンロッド教授らの研究チームは、抑うつ行動に関する自己報告が4種類のスクリーン・タイム(コンピューター、ソーシャル・メディア、テレビ、ビデオ・ゲーム)とどう関係しているかを調べた。
米国医師会が刊行する国際的な医学雑誌『JAMA』に発表されたこの研究を率いたコンロッド教授のチームは、大モントリオール圏で4年間に渡って、男女比がほぼ均等の3826人の7年生(日本での中学1年生に相当)を調査した。
このニュースは古いのでは? と思ったなら、その通りだ。だが、今回の研究で注目すべきは、ビデオ・ゲームだけが唯一、10代のうつ病に与える影響が中立だったことだ。その理由として、ビデオ・ゲームでは多くの場合、10代の若者たちが描かれていないからだとコンロッド教授は考えている。一方ソーシャル・メディアやテレビは、コンロッド教授が言うところの「理想化された人生のイメージ」のために、自尊心の低下と関連している可能性があるという。子どもたちは輝かしく飾り立てられた、純粋で非現実的なイメージと自分自身とを比べてしまうのだ。
コンロッド教授のチームは、スクリーン・タイムが1週間の身体活動に影響を与える証拠を見つけられなかった。「この事実は、テレビやソーシャル・メディアとうつ病との関係は、身体活動の多寡よりむしろ、コンテンツ(内容)と思考によって媒介されている可能性を示しています」。
では、よい影響を与えるスクリーン・タイムは存在するのだろうか? コンロッド教授の答えは「ノー」だ。
今回の調査はまだ初期段階にあり、今後の課題は多い。人口統計に関する視点、つまりうつ病に対するスクリーン・タイムの影響に、性別や社会経済学、それに以前からの健康要素などが与えた可能性を、より詳細に調査する必要があるとコンロッド教授は述べている。研究者たちはスクリーン・タイムがうつ病の原因となるのか、まだ完全には突き止めていない。特有のイメージなのか? 人間をうつ病のリスクに陥らせる特定の行動があるのか? こうした問いに答えるのは容易ではないが、その答えはより健康的な生活を送るのに役立つはずだ。