スマホとアプリを利用して集めたデータから、アルツハイマー病を早期に診断できる可能性があることが、新たな研究によって明らかになった。
医薬品大手のイーライリリー、医療技術スタートアップ企業のエビデーション・ヘルス(Evidation Health)、アップルの共同研究チームは、60~75歳の113人の被験者にアイフォーンとアップル・ウォッチ、アイパッド、睡眠モニターを配布した。被験者113人のうち31人はレベルに違いはあるものの認知症を患っているか認知機能が低下している。研究チームは、運動制御、気分、入力スピード、言語の使用、睡眠パターンなどのデータを12週間に渡って端末から収集した。被験者は、気力や気分についてのアンケートに毎日回答し、アプリで簡単なテストを受けた。
認知症の兆候がある人は、規則通りの入力があまりできず、入力スピードも遅かった。また、健康な対象者よりも送信するメッセージが少なかった。サポート・アプリに頼る頻度も多く、アンケートに回答する割合は低かった。これらの結果は、スマホなどの端末が認知機能の低下を追跡できる可能性を示しているものの、研究チームは手法の正確性を判断するにはさらなる研究が必要だと述べている。
アルツハイマー病を正しく診断するためには、長い時間がかかる場合がある。アルツハイマー病の初期症状はかすかなもので、「正常老化」と判断されやすいからだ。米国だけで毎年50万人近くがアルツハイマー病と診断されている。診断プロセスを加速することで、こうした人々の助けになる可能性がある。
ただし、プライバシーの問題がある。この方法で認知症の兆候をモニターするには、極めて詳細なデータを長期間トラッキングすることについて患者に同意してもらう必要がある。