大手自動車メーカー4社とカリフォルニア州が、新たな燃費基準に関する協定を結んだ。温室効果ガスの排出量を数十億トン減らせる可能性のあるオバマ政権時代の規則を、トランプ政権が後退させようとする中での新たな動きだ。
カリフォルニア州との協定に合意したのは、フォード、ホンダ、フォルクスワーゲン、北米BMWの4社。ワシントンポスト紙の報道によると、4社は車の燃費性能を2026年までに平均で1ガロン(約3.8リットル)あたり50マイル(約80キロメートル)に引き上げる。一方、米国で最多の人口を抱えるカリフォルニア州は、主要自動車メーカー4社が引き続き、州内で自動車を販売することを認める。
今回の協定は、オバマ政権時代の自動車規制を廃止しようとするトランプ政権の動きを強く非難するものだ。自動車メーカーは地域ごとに仕様を変更するのを避けたいため、今回の協定が、米国市場の30%程度を占める4社にとって事実上の連邦標準になる可能性がある。
ホワイトハウスは、2020年以降の自動車の燃費基準を1ガロンあたり37マイル(約60キロメートル)に引き上げる計画を凍結。あわせて、カリフォルニア州が「大気浄化法」の下で長期に渡って独自ルールを課せられる権限を無効にするための最終手続きに入っていた。だが、カリフォルニア州は、より厳格な基準を適用し続けると表明している。
声明の中で4社は、規制の確実性を優先したことを明らかにしている。異なる地域で異なる規制が設けられることがなく、米国内での統一された燃費基準に従って自動車を製造したい考えだ。注目すべき動きとして、カナダが最近、米連邦標準ではなくカリフォルニア州の標準に合わせて燃費要件を定めると発表した。
今回の協定で4社は、オバマ政権時に計画された目標の2025年から1年間の猶予を得ることになる。
輸送部門は、米国で最大の温室効果ガス排出源だ。専門家は、燃料基準を後退させるトランプ政権の動きが、排出源を削減する米国の取り組みにとって最大級のダメージになる可能性を指摘している。米環境保護庁が以前実施した調査では、規制強化によって2017~2025年式自動車の使用期間において、温室効果ガスを20億トン近く削減できることが判明している。
カリフォルニア州大気資源局のメアリー・ニコルズ局長はワシントンポスト紙の取材に対して、今回の協定がトランプ政権への「和解案」になる可能性について言及し、連邦政府による署名を希望した。他の自動車メーカーが協定に参加するかどうかはまだ不透明だ。