その小惑星は、誰にも気づかれることなく、地球からわずか7万3000キロメートルの距離にまで接近していた。今回の小惑星のニアミスにより、いつか起こるかもしれない小惑星の衝突に備えることへの新たな危機感が募っている。
米国航空宇宙局(NASA)の地球近傍天体(Near-Earth Object)データベースによると、7月25日、57~130メートルの大きさの小惑星「2019 OK」が、地球と衝突寸前にまで接近していた。小惑星2019 OKは、地球と月との距離(38万4400キロメートル)の約5分の1にあたる、7万3000キロメートルまで地球に接近した。宇宙の広さから見ると、非常に近い距離だ。確率的には極めて低いが、万が一、この小惑星が人口密度の高い地帯に衝突していたら、甚大な被害をもたらした可能性がある。
「都市を壊滅させる」大きさの小惑星が前もって発見されなかったことに対し、心配するなというのも無理な話だ。米国とブラジルのチームが小惑星2019 OKを発見したのはニアミスの数日前で、地球への接近が発表されたのは地球付近を通過するわずか数時間前のことだった。この小惑星は比較的大きさが小さく、軌道も通常と異なり、速度が非常に速かったため発見が難しかったと研究者たちはワシントン・ポスト紙に話している。
小惑星の監視には、地上に設置された望遠鏡 が主に使われている。NASAによると、小惑星を発見するために特別に設計された赤外線宇宙望遠鏡であれば、より早期に発見できるという。そのためNASAは2021年に、「地球近傍天体カメラ(Near Earth Object Camera)」の打ち上げを計画している。
今回のニアミスは、小惑星がもたらす現実的な脅威を改めて思い起こさせることになった。NASAは小惑星が地球と衝突しそうになるシナリオを作り、他の米国機関と連携して衝突に備えた訓練をしてきたが、より国際的なレベルで協力し、小惑星の発見と衝突対策への投資について議論する必要がありそうだ。今回の小惑星2019 OKの地球とのニアミスは、小惑星の衝突への備えに対し、警鐘を鳴らすことになったかもしれない。