通話は既存の契約のまま、データ通信だけを別のSIMでまかなう方法がある。2つのSIMを同時利用できるDSDS(DSDV)に対応したSIMフリースマホがこれまでは必要だったが、最新iPhoneがeSIMを搭載し、そのeSIMに対応したサービスが登場したことから、メインの回線はそのままで、データ通信は格安ということが可能になった。早速契約して利用してみた。
なぜeSIMで“ギガ”が増やせるのか
最初にeSIMについて説明すると、eSIMとはSIMを電子的なものに置き換え、ネット経由で取得して有効にすることができるものだ。物理的なSIMと違って、ネット環境があればSIMを受け取りに店に出向いたり、配送を待ったり、差し替えたりといった手間なく利用できる。
現在、eSIMに対応した端末は世界で少しずつ増えているが、現時点で国内に正規導入されたスマートフォンでは最新世代のiPhone XS/XS Max/XRが対応。タブレットでは、最新iPadやSurface Pro LTE Advancedも含まれる。
では実際にどのように“ギガ”を増やせるかといえば、eSIMを使うことで、既存の契約とはまったく別のデータ通信の契約を追加できるためだ。データ通信についてはeSIM側に担当させ、格安SIMのデータ通信を使うことで、安くギガを増やして使えるということだ。
具体的なサービスとしては、7月18日に開始されたIIJmioの「eSIMプラン (ベータ版)」がある。月6GBの高速通信が付いて月1520円。支払額はユニバーサルサービス料と消費税込みで月1645円となる。既存の契約の種類にもよるが、ギガが足りなくて困っているなら足りなくなりそうな時点でデータ通信をeSIMに切り替えるといい。また、段階制で料金がどんどん上がっていくデータ定額の場合は、データ通信をeSIMに担当させることでメインの回線は最低額で済み、それにIIJmioの1520円が加わる形となる。
たとえば、auの「新ピタットプラン」を固定回線割引や複数割引などなしに使っている場合、音声通話がまったくくない状態で1GBまでのデータ通信なら月額2980円(最初の約1年間)だが、1GBを超え4GBまでなら4480円、さらに4GBを超えると5980円となる。ドコモの「ギガライト」も段階が異なるが、1GBまでが2980円、5GBを超えて7GBまでは5980円と似たような内容だ。
auやドコモのプランは段階ごとの増額が少なめだからいいが、ソフトバンク「ミニモンスター」だと、1GBは2980円(最初の約1年間)だが、1GBを超えて2GBまでだと4980円に跳ね上がり、2GBを超えて4GBまでは6480円とさらにアップ、4GBを超えたら50GBまでは一定の7480円となる。
これら3キャリアにIIJmioのeSIMを加えると、最低でも2980円+1520円=4500円がかかってしまうが、6GB(+メイン回線側の1GB)までこの金額で利用できる。この仕組みは、2枚のSIMを同時利用できるDSDS(DSDV)機に慣れ親しんだ人とっては、単に2つ目のSIMが電子的なものになったと捉えるとわかりやすい。AndroidのSIMフリースマホでないとできなかった使い方が、いよいよ日本のiPhoneでも可能になったということだ。

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