今後のWindows 10のアップデートサイクルはどうなるか?
マイクロソフトは、Enterprise/Education版のサポート方針を変更しており、秋のバージョンアップに関しては、そのサポート期間を30ヵ月に延長した。
これと、今回の「最新版」(春のアップデート)、「安定版」(秋のアップデート)というWindows 10のリリース体制を合わせて考えると、企業や学校などでは、「安定版」を使い、1年または2年周期でのバージョンアップが可能になる。
現在、Pro以上のエディションでは、機能アップデートを最大365日延長できる。この機能を使うことで、個別のPCで設定することでバージョンアップ周期を1年にできる。また、組織内でWSUS(Windows Service Update Server)を使えば、最大2年周期でのバージョンアップも可能だ。
こうなると、オープンソース系やLinuxのディストリビューションが採用する「開発版」「安定版」のようなバージョン体制が可能になる。上述のソフトウェアでは機能を大きく変更する「開発版」と、基本機能が固定されるものの、安定して動作する「安定版」を交互にリリースすることが多い。環境が急激に変化することを避けたい実利用中心の環境に「安定版」を使うことで、「開発版」に対しては自由度(反面、安定性が損なわれる可能性もある)を持たせることができる。
気になるのは、今後、どれだけ「再インストール」なしにWindowsをバージョンアップできるようになるのかという点だ。バージョンアップ時の再起動やオフライン処理(一時的にOSを止めて更新専用のプログラムを動作させる処理)は多くのOSで行なわれているが、日常的にコンピューターを使うことを考えると、こうしたオフライン時間は時間のムダであり、使い勝手を低下させる。おそらく、バージョンアップによるオフライン時間は、Windows 10に対する最大のクレームになっていると想像できる。
もちろん実行中に差し替えられないファイルなどもあり、再起動自体は必要になるため、チャレンジとなる対象は、オフライン時間をどれだけ短くできるかだ。少なくともWindows 10は秋のアップデートに関しては、オフライン時間を最短にすることに挑戦するようだが、20H1のプレビューに関しては、そのような努力の形跡がない。まずは、秋のバージョンアップからオフライン時間の短縮を始めるのであろう。
オフライン時間はムダと考える一方で、ユーザーとしては、新機能はどんどん入れてほしいと考える。それにどう答えるのかが、Windows 10のバージョンアップにおける今後の注目点だろう。

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