タチコマのような4脚ロボット「GJS GEIO」を駆り、相手チームを撃破せよ!
優勝賞金2万ドル!実際のロボットを使ったeスポーツ日本大会に参戦してきたった
2019年06月21日 18時00分更新
4脚ロボットバトル世界大会勃発!そして日本大会に参戦!
どうもラジコン大好きアカザーです! 昨年8月からちょいとヤボ用で治験とリハビリのため病院を転々としている間に、ラジコン業界(?)がスゲーことになっているとの情報が!
アスキー編集部のムラリンの話によると、中国をはじめアジアを中心に世界中で遠隔操作のロボットバトルが盛り上がりを見せているのだとか。そのロボットは、赤外線ガトリングガンとカメラを装備し、スマホやタブレットを使ってのFPS対戦バトルが可能な4脚ロボット「GJS GEIO(ジオ)」!
さらにそのGEIOを使った賞金付きの世界大会まで開催されている。eスポーツといえば、スクリーンの中のゲームを戦場に争う競技というイメージだが、この実機ロボットを使ったバトル大会もeスポーツの一環として位置づけられていて、6月16日に開催の日本予選の優勝賞金は1000ドル。さらに日本大会の優勝者は、その後、eスポーツのオリンピックであるWCG(World Cyber Games)で公式種目として開催される「Robot Fighting Championship:GANKER ARENA」に日本代表として出場。この世界大会に優勝すれば2万ドルの賞金がゲットできるのだ!
というワケで6月16日。オレとムラリンは日本大会に出場すべく、会場である高田馬場の東京デザインテクノロジーセンター専門学校に到着!
俺的には決して賞金に目が眩んだワケではなく、ホビージャーナリストとして新しいリアルロボットを使ったeスポーツ競技会に興味があったからですよ!間違いない!今日の大会は2on2のチーム戦で行われるというのでムラリンとペアを組むことになったんですが、最近、パチンコや麻雀での負けが込んでいるムラリンは賞金目当てがバレバレ!間違いない!
GEIOってどんなロボット?
GEIOは30万画素カメラを搭載し、Wi-Fiを使ってスマートホンやタブレットで操作することが可能な4脚走行のロボット。開発元は中国のゲーミングロボットメーカーGJS ROBOT(工匠社)。国内ではマイルストーンから2万9800円前後で販売されており、カラーはレッドとブルーの2種類が用意されている。
主な仕様 | |
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本体カラー | レッド、ブルー |
バッテリー | 2000mAh |
連続操作 | 40分~1時間程度 |
接続方法 | IEEE802.11 a/n |
対応端末 | Android 5.0以上またはiOS 11以上 |
サイズ/重量 | 170(W)×170(D)×160(H)mm/730g |
4つの脚部に内蔵された車輪で前後左右自在に移動し、動きだけみると『攻殻機動隊』に登場するタチコマのよう。30万画素のカメラで撮影された映像を、操作するスマホやタブレットでリアルタイムに見ることが可能で、スマホ上のバーチャルボタン操作に加え、ジャイロによる移動方向操作も可能になっている。
今回の大会では、多数用意されたゲームモードの中から「バトルモード」で対戦。頭部に設置されたガトリング砲は、回転しながら赤外線弾を発射でき、相手GEIOの脚部にあるLED発光部に当てるとHPを削ることができる。1発当てれば5ポイントで、100ポイントのHPをすべて削り取られると操作できなくなる。また、一発逆転の要素として、本体前輪の間にあるボディー部分で、相手機の脚部LEDパーツに直接体当たりを当てれば50ポイントを削り取ることができるが、その分敵機にガチ接近しなければならいため、狙い撃ちされる危険性もある諸刃の剣な戦法だ。
赤外線弾は実際には目に見えないが、操作するスマホの画面上では派手なエフェクトで表示され、LED部にヒットするとバイブレーションで知らせてくれる。
また、赤外線弾のほかに、一定時間使える特殊弾が用意されており、高火力の火炎弾、敵の動きを止められるフリーズ弾、動きを遅くするスロー弾、1発のヒットでジワジワとHPを削るポインズン弾などの中から、ランダムで使用できる。
「バトルモード」のほかにも様々なゲームモードがあるんすけど、ラジコンレース大好きな俺としては、ゴールまでの速さを競う「スピードレースモード」もやってみたいな~。他にも仮想空間の敵と戦う「ARゲームモード」や、各種動作をカスタマイズ可能な「プログラミングモード」もあるんすね。詳しい操作が気になった方はコチラの体験会の模様をどうぞ。
事前練習で自機とライバルの動きをチェック!
東京デザインテクノロジーセンター専門学校の地下に下りると、目の前に本日のバトルフィールドが!なるほど中央に4つの障害物で、左右に椅子ってことはスタートは左右からで、中央の障害物に身を隠しながら戦えってことすか?と、フィールドをながめつつ脳内で戦略を練っていると、参加者らしきふたりが模擬戦を開始!
運営スタッフに確認しところ、エントリー開始時間まではフリー練習が可能とのこと。というワケでさっそくムラリンと練習開始!事前練習では機体の動きをチェック。機体を壁に向けた状態でバトル開始とのルールを聞いたムラリンは、GEIOのジャイロ機能を使った逆向きスタートの練習。それを見たオレも膝の上にスマホを置き、車椅子と機体のシンクロ操作に挑戦!(笑)
なお、ムラリンの技は笑いとしての破壊力はピカイチだが、実戦では相手が笑うより先にオレが笑ってしまいそうなので禁止!オレの技も車椅子操作に両手を使うため赤外線バルカンを撃てないことに気が付き封印。
そんなふざけた事前練習で道化を装いつつも、他の参加者達の練習は逐一チェック!するとヤバイ動きの機体を発見。大阪代表の選手たちだ。実は今回の大会に先駆け大阪予選が行われており、そこで優勝したOCA GODと予選2位で通過したOCA FIRSTの2チーム4名がシード枠で参加しているのだ。さすがに大阪大会を征したOCAチームの動きはハンパねぇ!高速移動からの正確なエイムとか完全に優勝候補な感じ。
OCAチームの別次元の動きに内心穏やかでないオレとムラリンであったが、この1週間前にふたりで事前練習をした結果、我々ナイスミドルには高速で動きながら正確なエイムをするのはムリと判断。しかし弾を撃ち相手の機体に当てないことには勝利はない!という2点を踏まえ、今回の作戦は“エイム重視の足を止めての殴り合い作戦”で行くこと決定。当てられるまえに当てれば、どうということはない!
というワケで数種類あるGEIOの操作パターンから、我々が選んだのは細かなエイムがし易いジャイロ操作アリ、そしてスピードモードは遅めというセッティング!
そうこうしているうちに、エントリーが終了。本日は19組38名のエントリー。参加者のなかにはゲーム系Youtuberの方々やプロeスポーツチームの姿も!しかし、事前練習を見た我々の見立てでは、強豪はやはりeスポーツ学科のある専門学校の学生たちかも……。いずれにしろ気が抜けない戦いが待っている。
抽選券の入った箱からムラリンが引き当てたのは11枠!え?クジ運によっては1回戦シードもらえたかもしんねーのに、一番下からじゃないっすか!決勝戦まで4回も勝たなきゃならねぇ!流石にここんとこ負けが込んでるムラリンだぜ。しかし、やるしかねぇ!優勝賞金10万円のために!
4脚ロボットバトルの日本大会開始!
今回のルールは、赤外線バルカンを当て相手機体のHPを削り、相手チームを2機とも走行不能にしたチームが1ゲーム奪取。先に3ゲームをとったチームが勝ち上がりというルール。
初戦の相手は、TSAプロチーム。東京の専門学校代表という強豪だ。その1戦目、緊張からかいきなりスマホ操作をミスったオレ。機体をあろうことかフィールドのど真ん中でスタックさせてしまい、敵からの集中放火を浴びてあえなくダウン。「これは1本目取られたかなぁ」と諦めかけた矢先、なんとムラリンが火炎弾を使ってひとりで2撃破の大金星をあげて1本先取。
実はバトルモードで使える特殊弾のうち、いちばん強力なのがこの火炎弾!通常弾10発ぶんの威力で、相手の体力を半分ほど削る恐ろしい弾なのだ。しかし、数種類ある特殊弾はランダム選択なので、強力な弾を引き当てる運も必要となる。はずなのだが……今日のムラリンの引きは強い!先ほどの対戦マッチングまでで負け運を使い果たしたかのような鬼引きで、続く2本目も火炎弾を引きあて、ひとりで敵陣に突っ込んで2撃破だと!ソッコー落ちたオレ、完全に空気……。
3本目はオレが囮となって活躍!(笑)。相手を自陣に誘い込んだところで、敵の脚を止めるフリーズ弾を撃ち込み、障害物に身を隠した引きの強いムラリンが、死角から特殊弾で敵をスナイプという戦法で勝利!なんかイイ感じじゃないすかオレ達!
続く2回戦の相手はTOKYO天狗チーム。ここで勝って勢いに乗りたい我々アスキーチーム。しかし、またしてもアカザー機が不調で毎回先に落とされる。しかし、この本選で覚醒したムラリンの活躍で、3-1で勝利!これでベスト8進出だぜ!10万円は近い!
女性eスポーツチームの魅せプレイ!相変わらず地味なアスキーチームのイモプレイ!
障害物に身を隠しながら特殊弾頼りの地味なイモプレイの我々アスキーチームとは違い、華麗な魅せるプレイで会場を盛り上げていたのは、女性eスポーツチームのSunSister♀。2対1の不利な展開からの逆転劇に会場もヒートアップ!
我々アスキーチームの3回戦相手はモナコインチーム。これまでのオレ不調が、どうやらオレのスマホが原因らしいということを突き止めたオレは、心優しきナイスガイな中川運輸チームにスマホを借りて参戦!そしてこれが見事的中!先ほどまでとは全く違い、動きがキレキレに!中川運輸さんのiPhoneいいすね!
どうやら相手チームの作戦はこれまでの戦いでのポイントゲッター、ムラリン機を集中攻撃する作戦だったようで、ムラリンを狙いに来た敵の背後に真のエースであるオレがキレキレの動きで回り込み、挟撃し撃破!その後はこれまでどおり陽動と、ムラリン機体のサポートをキレキレの機体でこなして3本先取!あっさりベスト4へ進出!
そして迎えた準決勝。相手は大阪大会の覇者OCA GODチーム。ふたたび中川運輸チームにスマホを借りてキレキレの動きで相手を翻弄!と思いきや、高速で動きながらいち早くエイムを決めてくるOCA GODチームの2台にタジタジ。頼みの綱である特殊弾の一発逆転にかけ、ムラリンが火炎弾をゲット!するも……撃つ前にOCA GODチームのフリーズ弾が決まって、足を止められてボコボコに。
相手機体のHP25パーセントまで削るのがせいいっぱいで、結局1機も落とせず3タテで格の違いを見せつけられ敗北。いやーここまで実力差があると、負けてもスカッとしますね~。
決勝前に行われた中川運輸チームとの3位決定戦。先ほどスマホを借りていた中川運輸の人達と対戦ということで、昨日の敵は今日の友!強敵と書いて友と読む!的に、今回はOCA GODチームスマホを借りて参戦するオレ。
最初の1本を先取されたものの、ここにきてムラリンとの息がピタリと合い、阿吽の呼吸でお互いがお互いを補うチームプレイを発揮!その後の3本を連続で取って気が付けは3位!これぞ昭和オヤジの少年時代のバイブルことジャンプ漫画的な、友情(スマホ借り)・努力(練習2時間)・勝利(10万欲しい)な展開キター!ていうか中川運輸チームの人も、OCA GODチームの人達も本当にありがとうございました!皆さんからスマホを借してもらえてなかったら、こんなに熱い戦いが出来なかったと思います。しかし、チーム対戦は操作をする楽しさに加えて、戦略や動きをあわせていく面白さもあって、めっちゃ楽しいすね~。
ニュータイプ同士による決勝戦バトルで日本代表が爆誕!
本日の大トリ、決勝戦は大阪大会を圧勝、ついでに我々アスキーチームにも圧勝した、今回優勝候補ナンバーワンのOCA GODチームと、大阪大会予選2位だったOCA FIRSTチームの対戦。大阪大会では特殊弾ナシのルールだったため、両チームの機体操作とエイム力はピカイチ。勝敗のカギを握るのは、今大会から適用された特殊弾解禁のルールかも?
1本目は特殊弾ヒットを皮切りに先制攻撃が成功したOCA FIRSTチームが2-1で勝利。続く2本目は徹底して1機にエイムを絞った作戦でOCA GODチームが先制するも、障害物を利用して1on1に持ち込み、最後は体当たりでの逆転劇をみせて、またもやOCA FIRSTチームが2-1で勝利。そして優勝に王手がかかった3本目。1本目と同様の展開で特殊弾で相手の体力を奪い、障害物を利用した堅実な2on1で終始戦いを有利に展開したOCA FIRSTチームが2-1で勝利。スコア3-0で大阪大会の雪辱を見事に晴らして、OCA FIRSTチームが日本代表の座に輝きました!
優勝に輝いたOCA FIRSTチームと、準優勝のOCA GODチームに強さの秘訣を聞いたところ、チーム戦としての動きは基本的には2対1の状況有利で戦い、それがムリな場合は1対1で、なるべく1対2という状況を避ける立ち回り。また事前にどの敵機を重点的に倒すかは決めているが、その後は戦闘状況を適宜判断し、途中からHPの低くなっている敵機を重点的に狙っていく作戦に切り替えたりするのだそう。そこはもう僚機と敵機の動きをみながら適宜調整とのこと。
もともと両チームのメンバーはOCA大阪デザイン&IT専門学校でeスポーツを専攻する学生さんたちで、その辺の立ち回りはFPSゲームのそれと同じ感じ。ただ実機のラジコン操作は初めてだったため、この大会のためにタイヤがすり切れるほどコントロールの練習に励んだとのこと。機体操作のコツは、操作は目視で行ない機体からの一人称画像転送をOFFにすること。これをすることで、機体操作のレスポンスが上がるのだそう。
今回優勝したOCA FIRSTチームは7月に中国・西安で行なわれる世界最大級のeスポーツイベント「WCG 2019 Xi'an’s」で開催される競技種目「WCG Robot Fighting Championship: GANKER ARENA」に日本代表として参戦する。
この大会では今回使用したGEIOではなく、新製品の「GANKER EX(ガンカーイーエックス)」というロボットを使用するとのことで、全てのチームが初の機体での初のバトルになるとのこと。リアルアムロ・レイが産まれる神イベントの予感!
イベント終了後にはモーションコントロールで操作するGANKERのデモや体験会も行われた。このGANKERは主に剣と盾といった物理攻撃で近接戦闘を行なう多脚ロボット。その外装や武器を、3Dプリンターで作ったりというカスタマイズ要素もあるという。
今回中国・深センより来日したGJSのロバート氏によれば、「WCG Robot Fighting Championship: GANKER ARENA」には、中国・日本・香港・タイ・ベトナム・シンガポール・フィリピン・アメリカ・ヨーロッパから優勝した16チームが西安に集結し、世界一の座を争うという。その優勝賞金は2000ドル!その後も、GEIOでの5対5の多人数対戦や、GEIOとGANKER EX混成チームでの対戦などを企画しており、ロボットを使ってのeスポーツを盛り上げていくとのこと。
GJSのロバート氏「年末には日本でGANKER EXを使った大会も企画していますので、皆さんのご参加をお待ちしております」とのこと。
そうか~年末にはGANKER EXを使ったイベントがあるんすねぇ!よっしゃ、次の賞金はオレがいただい……ではなくて、リアルロボットを使ったFPSバトルはホントかなり楽しいので、興味を持たれた方は続報を要チェックっす!たぶん賞金も魅力的な予感!(笑)
取材協力:東京デザインテクノロジーセンター専門学校
コンピューターを使った「創造力」を持ったプロフェッショナルを育てる専門学校。売れる商品を作るための技術力・コミュニケーション力を学び、将来プロとして活躍できるクリエイター・エンジニアを目指す。ゲーム・IT・AI・ロボット・Web・3DCG・アニメ・イラストなどの分野で即戦力となる人材を育成している。