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英国、2050年までに温室効果ガスの排出量を正味ゼロに

2019年06月16日 11時55分更新

文● Charlotte Jee

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あらゆる経済大国が設定してきた「温室効果ガス排出量削減」目標の中で、英国の目標はもっとも野心的なものだ。

英国政府は、2050年までに温室効果ガスの排出量を「正味ゼロ」に削減するという新たな目標を設定した。正味ゼロとは、炭素除去や排出権の購入などによって排出量を相殺することを意味している。英国はすでに2008年に制定した法律によって、2050年までに排出量の80%削減を計画している。だが、より野心的な目標を反映するためにこの法律は改正されるだろう。もっと野心的な国もある。たとえば、フィンランドは正味ゼロを達成する目標を2035年に設定し、ノルウェーは2030年までの正味ゼロを目指している。

目標達成は簡単なことではない。すでに英国は以前設定した、より低い目標を達成する道筋からも外れてしまっていたのだ。新たな目標は、英国経済の広範かつ大規模な変化とEU離脱(Brexit)危機の真っただ中にいる、政治家らによる多大な努力を必要とするだろう。

必要な変化について知りたければ、英国の気候変動委員会による最近の報告書を参照するといい。報告書では、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2035年までに段階的に廃止し、家庭では天然ガスから低炭素な代替燃料への切り替えを提言している

野心的であるにもかかわらず、この計画が十分ではないと考える人も多い。気候活動家団体の「エクスティンクション・レベリオン(Extinction Rebellion)」は、事態を改善するには2050年では遅すぎると話している。グリーンピースは計画の意図は称賛したものの、「国際的な炭素排出権取引を通じて発展途上国に負担を押し付けようとすれば、計画の責任を根底から覆すものだ」とガーディアン紙にコメントしている。

世界の温室効果ガス排出量の1.2%を占める英国は、世界の排出量の合計40%を占める中国と米国からすると少なく見える。産業革命前比1.5℃以上の平均気温上昇を防げるという希望がわずかでもあるなら、中国と米国は排出量を劇的に削減するために最大限の努力が必要になるだろう。

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