米国のエレクション・システムズ&ソフトウェア(Election Systems & Software)は、電子投票システムの普及を推進してきた。しかしいまでは、紙による投票記録の必要性について、考えを変えたようだ。
米国の大規模な選挙では、50万台を超える電子投票機が使用されている。電子投票機の多くは、電子的な投票結果を監査するために紙のコピーを作っているが、紙のコピーを作らない機器もある。セキュリティ専門家らは、電子投票機はハッキングされる可能性があることを指摘しており、問題となっている。
エレクション・システムズ&ソフトウェアのトム・バートCEO(最高経営責任者)は、政治紙のロール・コール(Roll Call)に6月7日に掲載された論説で、同社の管轄選挙区内では今後、主要なペーパレス電子投票機機器の販売を中止すると述べた。また、連邦議会に対し、紙によるバックアップをすべての電子的な投票に義務付け、電子投票機に対する厳格なサイバーセキュリティ試験の実施をすべての投票機器メーカーに要求するよう呼びかけた。
投票記録が紙でバックアップされていないことは、スタンフォード大学が最近発表した選挙のセキュリティに関する報告書で指摘された大きな問題の1つだ。同報告書は、2020年の大統領選挙が近づいく中、米国の選挙プロセスは依然として、外部からの攻撃に脆弱なままだと結論付けている。
電子投票機にはセキュリティの脆弱性があるとして、すべての電子投票機に紙による投票記録のバックアップを求める倫理的ハッカーたちと、エレクション・システムズ&ソフトウェアの間では、以前、対立が生じたことがあった。だがいま、エレクション・システムズ&ソフトウェア自身が紙による投票記録のバックアップの義務化を支持しており、どうやら双方は同じ考えを持っているようだ。