米国航空宇宙局(NASA)は6月1日、「商業月面物資輸送サービス(CLPS:Commercial Lunar Payload Services)」プログラムの一環として、NASAの機器や実験装置を月面に輸送する3社を選定したことを発表した。最初の会社は早ければ来年には月面に着陸する予定だ。
今回幸運にもNASAの委託を勝ち取ったのは、アストロボティック(Astrobotic)、インテュイティブ・マシーンズ(Intuitive Machines)、オービット・ビヨンド(Orbit Beyond)だ。3社は2020年と2021年に着陸船を月に送り込むという。この取り組みは、2024年までに人間を再び月に送ることを目指す米国の「アルテミス計画」に役立つ情報を提供することになる。
3社は、昨年11月に総額26億ドルの契約金で月面へ物資を輸送する最終候補に採択された9社の中から選ばれた。「これまでの月面での活動はすべて超大国が資金を提供していました」。アストロボティックの最高経営責任者(CEO)であるジョン・ソーントンは昨年、MITテクノロジーレビューの取材に対しこのように述べていた。「民間企業が月面に着陸して、お金を稼ぐことなど果たしてできるでしょうか」。
インテュイティブ・マシーンズとオービット・ビヨンドは、スペースXの「ファルコン9(Falcon 9)」ロケットで機器を打ち上げる予定だ。一方、アストロボティックはまだ打ち上げ企業を選定していない。
今後、月を周回する宇宙ステーション「ゲートウェイ(Gateway)」や打ち上げをサポートするロケットの建造を含む複数のプロジェクトに向けて、さらに多くの契約が結ばれることになる。「来年、私たちの最初の科学技術研究を月面で実施します。この研究は、今後5年以内に男性飛行士と史上初の女性飛行士による月面着陸を実現するのに役立つでしょう」とNASAのジム・ブライデンスタイン長官は述べた。「これらの商業月面着陸サービスへの投資は、地球低軌道(LEO)より外側における宇宙経済の構築に向けた大きな一歩にもなります」。