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仕事に差がつく!阿久津良和「Office 365のスゴ技」 第70回

OCRと機械学習で実現

スマホで撮影した表をExcelに自動取り込みする機能、iOSに対応

2019年06月03日 10時00分更新

文● 阿久津良和 編集 ● 羽野/TECH.ASCII.jp

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本連載は、マイクロソフトのSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション「Office 365」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。

 Office 365を使いこなして仕事を早く終わらせたい皆様にお届けする本連載。今回はモバイル版Excelの画像取り込み機能に注目する。

Excelの画像OCR機能は時短に最適

 Microsoftがスマートフォン(以下、スマホ)やタブレットが供えるカメラを通じて、物理環境にある表を認識し、Excelに取り込む機能を発表したのは2018年9月に開催したIgnite 2018である(関連記事)。同社は米国時間2019年5月31日に投稿した記事を通じて、本機能をAndroid版だけではなく、iOS版にも展開することを明らかにした。

「挿入」タブの「画像からのデータ」をタップする

スマホで撮影した画像は分析を要するため、クラウドへのアップロード確認を求められる

ちなみにExcelからスマホのカメラ機能を初めて使う際は、図のような確認を求められる

 本機能はOCR技術と機械学習モデルを組み合わせて実現している。画像として取り込んだデータ抽出を可能にするために、WordのPDFリフロー機能やOfficeレンズなどと同等のレイアウトテクノロジを使用し、文字列や表の罫線といった構成要素を検出。以前よりも強化したOCRエンジンを用いた文字認識などを組み合わせて画像処理を実施するとMicrosoftは説明している。昨日、MSRA(Microsoft Research Asia)の関係者が訪日していたが、同研究所では次世代OCRエンジンとして「OneOCR」を開発してきた。本機能にOneOCRを使用しているか不明ながらも、AIによる機能強化を図るOffice 365に用いても不思議ではない。

手元にあった日本マイクロソフトのパンフレットを撮影中。取り込み対象を認識すると赤色の線で囲まれる

図は撮影直後の状態。この時点で画像はローカル(スマホ)に存在する

先の確認ボタンをタップすることで、アップロードから解析処理が始まる

 筆者はAndroid搭載のスマホでベータ版Excel(バージョン1.0.1)、iOSでもTestFlightでインサイダー版(バージョン2.26)を使用しているが、本機能を確認できたのはAndroid版のみ。いずれも5月29日にリリースされたものだが、先の記事でiOS版は「来月のOffice Insiderで利用できる」との一文がある。本機能のサポートページによればサポートする言語は英語に代表される21言語で、そこに日本語は含まれていない。ただし、Android版の動作を踏まえると、Microsoftの説明どおり6月中旬以降には使えるようになるだろう。

解析結果として複数のテキストが現れる。問題がないようであれば、右上の「確認」をタップする

最後にセルへの挿入確認をうながされるので、「そのまま挿入する」をタップ。「確認」をタップすると先のプロセスを再度行える

こちらExcelに取り込んだ状態。ご覧のとおり日本語もかなり正しく認識している

 Microsoftは本機能のメリットとして、「紙ベースのデータを数千行まで統合」「提示が難しい情報の要約」「紙の状態では見逃していた傾向や依存関係の明示化」「将来需要や法令遵守の観点によるデータのアーカイブ」を並べ上げている。今回筆者が試して感じたのは、紙書類のデータ化だ。IT系企業の発表会に参加する機会が多い筆者だが、プレゼンテーション資料や当日発表したプレスリリースはいまだ紙ベースである(ペーパーレスはどこへ行ったやら)。筆者はライターとして紙資料からテキストエディターに転記する場面が非常に多いため、普段から携帯するiPhone(のExcel)が対応すれば、執筆時間はさらに短くなりそうだ。本稿をご覧になっている読者諸氏も多くの業務シーンで時間短縮を実現できるだろう。

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