RTX 2080 mini搭載「ESPRIMO WD-G/D1」開発者インタビュー
富士通のノウハウを集結、“何でもできる”ハイエンドPCが誕生したワケとは (3/4)
2019年06月11日 11時00分更新
ケース内外にこだわり
ビジネスモデルで学んだ修理のしやすさ
ーーGeForce RTX 2080 miniというあまり聞きなれないグラフィックスカードが搭載されていますが、これはどういった経緯で選ばれたのですか?
屋形:商品企画部では、ユーザーの声を吸い上げて、どういう製品を提供するのかを企画し、技術部にできるか考えてもらうというのが主な仕事なので、今回はGeForce RTX 2080を搭載するマシンをお客様に提供したいというのを技術部にお願いしました。そのリクエストを受けて、技術部は今回のESPRIMO WD-G/D1のケースを選定しました。技術部には結構めちゃくちゃなお願いをするケースも多いので、かなり大変な思いをしていると思います。
ーーーーなるほど、そのケースに入るグラフィックスカードとしてGeForce RTX 2080 miniを選択したのですね。
曽我 浩二氏(以下、曽我):そうですね。 最終的に独自の評価基準をクリアすることを確認したうえで、GeForce RTX 2080 miniを搭載することを決定しています。
ーーフルタワーやミドルタワーという選択肢はなかったのですか?
曽我:弊社ではワークステーションではフルタワーなども販売しているのですが、日本で個人向けとなると、小さい方がいいので、ミニタワーにしました。
ーーミニタワーだと熱などの問題もあると思うのですが。
曽我:ケース内部にファンは3つ入らかったので大き目のファンを2つと、ヒートパイプを搭載しています。エアフロ―としては、フロントの下から風を入れて、上に流れるようになっていて、グラフィックスカードに風が来るように設計されています。
ーー電源はGeForce RTX 2080 miniにしては小さい気がするのですが。
曽我:電源を大きくするのは簡単ですが、その分マイナス面もあります。目標のサイズやコストがあるので、我々はその範囲内で適切な設計をしています。
ーーそのほか、ケース内部でこだわりはありますか?
屋形:ケース内に緑色の部分があり、そこはユーザーに開放しているエリアです。これはもともとビジネス向けの設計だったのを踏襲しており、購入後にユーザーが機能拡張しやすい構造でもありますし、万が一、障害が起きた場合にも対応しやすい構造にもなっています。
ーービジネス向けのノウハウも入っているんですね。
屋形:そうですね。ビジネス向けのパソコンの品質の基準があって、それも適用されています。例えば、ワークステーションは人がいない暑い場所などでも正しい状態で動くように基準が設定されていますが、ESPRIMO WD-G/D1でもその基準が適用されています。
ーー厳しめの基準ですね
曽我:そのほか、ケースのシャーシもベンダーさんに立ち会って何度も確認します。強度を含めて、何度も納得いくまで確認していました。
屋形:一番いい構成で一番いいのをまとめるとなると、基本はうまくいかないんです。ただ、そこは長年パソコンを提供してきたメーカーのノウハウがあるので、うまく両立して完成させたんです。