幸いなことに、乗組員に危険が差し迫っているわけではない。しかし部分的な電源損失は、約2.5トンの実験機材や物資を搭載したスペースXの補給ミッション開始延期を意味する。
太陽光パネルから電力を得ている国際宇宙ステーション(ISS)には、電力切替装置(MBSU)と呼ばれる4つの主要な配電装置がある。4月29日、米国航空宇宙局(NASA)は問題が起きているのはMBSU3だと公表した。各MBSUは2つのステーション・チャンネルを介してISS全体に電力を供給している。つまり、ISSの8つのチャンネルのうち2つで電力が喪失したことになる。この問題の発生は今回が初めてではない。MBSUは2012年と2017年に故障し、ロボットアームや船外活動による交換が必要だった。
もっとも重大な点として、今回の停電は宇宙ステーション・リモート・マニピュレーター・システム(Space Station Remote Manipulator System)、つまりISSのロボットアームの冗長性に影響している。スペースX・ドラゴン(SpaceX Dragon )のカプセルをキャッチする際の予備として必要なものだ。アームは1つの電源だけでも動くが、万一に備えてNASAでは2つを必須としている。
地上のエンジニアが、配電ルートの変更や故障したMBSUの調整で問題を解決できない場合、5月1日に予定されているスペースXの打ち上げ前に、ISSの宇宙飛行士がMBSUの交換を試す必要があるかもしれない。この遅れの結果、スペースXのCRS-17(商用補給サービス)ミッションは5月3日午前3時11分以降に開始される予定だ。