音楽を聴くには「耳」が大切。
そう書くと、普通はリスナー側の話だと思うでしょう。まあそれも、もちろん大事ではあるのですが、これからはオーディオ機器側にも「耳」が必要なんだろうなぁという話です。耳というのはマイクのこと。人の声に反応して操作できる機能(音声認識)ということになります。
ここで取り上げる「Echo Link」は、最近日本のアマゾンが販売を始めた“オーディオ機器”です。Echoシリーズの一員としてリリースされてはいますが、スマートスピーカーではありません。「Amazon Music」「Spotify」「Tune-In」「dヒッツ」のストリーミング再生ができるプリアンプです。
いろんなAV機器に加え、スマスピもつながる
プリアンプというのは、コンポのうち、入力切り替えやボリューム調節、トーンバランス調節機能などを持った製品です。スピーカーを駆動するため、信号を増幅するパワーアンプ(メインアンプ)と組み合わせて使います。
Echo Linkを使えば、スマートスピーカーで再生する音楽を“Hi-Fiオーディオ機器のクオリティー”まで引き上げられます。マイクを内蔵していないため、この機器だけで音声操作ができるようにはなりませんが、Alexa対応のスマートスピーカーと組み合わせることで、曲やプレイリストを声で選べるようになります。
また、小型の本体でありながら、入力端子の種類が豊富です。音声操作とは少し外れますが、手ごろな価格のDACとしても使えます。Bluetoothや光デジタル入力端子がなく、アナログ入力端子しか持たない“プリメインアンプ”と、タブレットや薄型テレビをつなぎ、再生中のYouTube動画や映画などを高音質に楽しめます。そんなデジタル機器とオーディオの橋渡し的な存在にもなるのです。
一方で、本体にリモコンは付属しません。それどころか、操作用のボタンすらそぎ落とした簡素さです。マニュアルも超簡単で、最初のつなぎ方の説明のみ。スマホアプリからの操作も受け付けますが、「声」の操作にだいぶ振り切ったコンセプトのオーディオ機器と言えます。
定額ストリーミングの魅力を最大限に引き出せる
最近はHi-Fiオーディオの世界でも、定額ストリーミング再生に対応するのがトレンドになっています。オーディオ機器が直接インターネット上のクラウドにアクセスし、数千万曲と言われるライブラリーから楽曲を再生します。
新譜・旧譜を問わず、様々な曲が選べる「選択肢の豊富さ」、リッピングや購入の手間がなく使える「利便性の高さ」は改めて書くまでもないでしょう。
MP3などで圧縮された音源とはいえ、オーディオファンご用達のジャズボーカルなど、録音品質がいい音源も多数存在します。音質はフォーマット以前に、録音状態やミキシング、マスタリングなどのできのほうが重要です。しっかりとした機器で聞けば、こういった制作上のこだわりも感じ取れるでしょう。