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医療機器、設備機器、給食、機器開発テクノロジーが一堂に集う「HOSPEX Japan 2018」レポート

AI・未病・リラクゼーションのためのソリューションが盛況

2019年04月16日 11時00分更新

文● 戸津弘貴 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●高橋智

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 「HOSPEX Japan 2018」は、病院・福祉に関する医療機器、設備機器、給食、機器開発テクノロジーが一堂に集う展示会。会場では、さまざまな機器やソリューションが展示されていたが、医療の現場にも最新テクノロジーを活用したものが多く見られた。

AIを活用した健康リスク算出ソリューション

 会場で注目を集めていたのは、AIを活用した遺伝子解析や健康診断結果から健康リスクを算出するソリューションだ。

 ヤフーのゲノム多型解析サービス「HealthData Lab」は、専用のキットに唾液を採取して、送るだけで解析結果がわかるという手軽さが特徴。受検者には自分の遺伝子的ルーツや体質、健康リスクなどのおよそ300項目の傾向がわかるというものだ。たとえば、糖尿病や脳梗塞、喘息といった健康リスクが一般と比較して何倍あるか、などの結果を受け取ることができる。

 研究が進むことで新たに判明したリスクやアドバイスも更新されるほか、提供したデータがどのように役立ったかも知らせてくれるという継続的なサービスなのも受検のモチベーションとなる。

 一方で、民間サービスとしての課題も見受けられる。本来の遺伝子検査では、糖尿病やがんなどの発症リスクが高い精度で解析できるというが、日本においては「医療行為」とみなされるために、受検者に送られる解析結果は大雑把なものになってしまう。もちろん、医療機関から「診療」として照会された場合には、詳細な結果を回答することができるということだが、遺伝子検査に対応する病院も限られるほか、詳細な解析結果が知りたいという理由で受診することも難しい(なんらかの疾病が疑われる際の検査でないと受診できない)ため、せっかく受検しても詳細なデータが確認できないというもどかしさがある。

 同じ問題は、ほかのAI解析サービスにも存在する。韓国SELVAS AI社が展示するソリューション「Selvy Checkup」は、BMIや血圧、コレステロール値、問診情報など20項目の健康診断結果を入力するだけで、AIが6大がん、脳心血管疾患、糖尿病など10疾病の4年以内の発症確率を予想するものだ。統計分析法と比較しても、10%以上高い予測精度が特徴という。

 こちらでも現時点では、「診断」までしてしまうと医療行為に該当するために、現時点での活用方法としては、導入した会社の社員の健康管理に役立てるほか、特に保険分野においては、保険金の支払いを算出するために活用されるという。つまり、解析結果から、病気によって支払うべき保険金の予測をして、支払い計画のために活かされるというもの。そのほか、健保組合などへの導入には、加入者への健康アドバイスなどの参考にも使われるという。

 それぞれ異なる健康リスクに対して個別のアドバイスをすることで、精度の高い健康管理が行え、加入者は健康が維持でき、健保側は医療保険の支払い費用を下げることができる。一方で、個人向けの健康情報サービスのニーズは把握しているという。国内の事業者と協業し、近い将来にはBtoC向けのアプリとしても利用出来る道筋もできたという。

健康寿命を維持する試みが多く見られた「未病改善プロジェクト」

 ここ数年、医療費の増大はニュースでも取り上げられる機会が増え、社会問題にもなっている。そんな中、病気にならないよう健康を維持するための未病改善の取り組みが注目されている。

 ソニーネットワークコミュニケーションズのブースでは、パーソナルトレーニングサービス「ソネトレ」を紹介していた。リストバンド型のセンサーと、タブレット(スマートTV)を組み合わせて自宅でもトレーニングが行なえるものだ。

 高齢者でも使用できるように、電池寿命が長い専用のリストバンドを採用。タブレットに配信されるトレーニングコンテンツを見ながら自分のペースで運動ができる。調査によると、60歳を超えると急激に体力が落ちる傾向にあり、筋力の低下や瞬発力が衰えることで、外出頻度が下がり認知症へと悪循環になってしまうという。

 そこで重要なのは、高い頻度でトレーニングに取り組むということ。混雑でトレーニングマシンが空いていない場合、ジムに行くモチベーションを維持するのは難しいという。ソネトレでは自宅で好きな時間にできるということで、週1回、ジムでハードなトレーニングをするよりも、週3回自宅で楽しんで実施するメニューをこなした方が、効果があるという。

 同種のサービスは、未病改善プロジェクトでも多く紹介されており、今後の発展が見込まれる。

リラクゼーションのためのソリューションが盛況

 低周波治療器などを手がけるミナト医科学では、近未来的なウォーターベッドマッサージ機「AQUATIZER」(アクアタイザー)が注目を集めていた。カプセル状のベッドで、ポンプで水流を発生させてマッサージ効果を生んでいる。

 個人向けというよりは、整形外科などの医療機関向けで、メディカルモードでは筋肉の柔軟性を向上させるマッサージによって、鎮痛効果なども得られる。リラックスモードでは、全身に揺らぎを与えるなど緩やかな刺激を与えるもの。担当者いわく「10分くらいで眠りに落ちます」とのこと。

 その他リラクゼーション分野では、副交感神経の働きを促進させる成分を含み、リラックスさせる目的のドリンクやサプリメントなども見られた。「頑張りたいときに飲むエナジードリンクの逆バージョンとお考えください」と、需要喚起のアピールにも余念がなかった。

 アイホンが展示していたのは、近年問題にもなっている、看護師など医療スタッフへのハラスメント対策としての通報システム。あらかじめ決めておいたトリガーワードを発することで、ナースセンターに通報、同時に音声で記録する。

 ナースコールからの応答(ベッドサイドのスピーカー)や応援が駆けつけることで、ハラスメントのエスカレートを防いだり、事態の収拾に当たることができるとしている。

 HOSPEXでは、従来のような医療器具の洗浄や診療所の家具や診療台などの設備も紹介されてはいたが、最新テクノロジーを駆使するものは、未病改善や医療現場での課題解決に関するものが多く見られた。働き方改革や未然予防によって、コスト削減や離職者の抑制など、テクノロジーの果たす役割は年々大きくなっている。

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