スポーツを中心としたユーザーコミュニティー、事業規模の拡大に関して、日本市場がもっとも遅れていると言われる分野がある。それがホスピタリティ事業だ。
やや異なるジャンルではあるが、都内にある高級ホテルの部屋数などに例えると解りやすいかもしれない。2020年東京オリンピックを控えて高級ホテルのオープンが相次いではいるが、オリンピックホストシティとしては、まだまだ世界的にみて高級ホテルの選択肢は狭く、部屋数も限られている。
グローバルでの和食ブームやアジア諸国の経済発展などもあって、日本での滞在に優雅なひとときを求めるニーズはあるものの、それを受け止めるインフラが発展途上というのは、実はスポーツにおけるホスピタリティ事業でもよく似た状況がある。
地域コミュニティーに根差したプロスポーツと観客の交流、コミュニティー作りなどは、かなり進歩してきてはいるものの、一方で欧米のスポーツ事業では大きな収入源となっている特別なホスピタリティスペースを用いた企業向け、あるいは富裕層向けのスポーツ観戦事業は発展してきていない。
たとえば欧州でもっとも集客力の高いサッカーをはじめ、欧米では一般的な観戦チケットの販売よりも、ホスピタリティスペースの売上げの方が多いことが一般的なのとは対照的だ。スポーツを中心にした事業規模拡大を狙うのであれば、スポーツホスピタリティ事業の発展は不可欠な要素だろう。
ご存知の通り、2019年9月にはラグビーワールドカップ(RWC)2019、来年にはいよいよ東京オリンピック・パラリンピックと、大きなスポーツイベントが続くが、こうした大規模スポーツイベントを契機に、スポーツホスピタリティ事業を日本に根付かせることはできるのだろうか?