2年間をかけて開発されたロボットが、今後人間の労働者とともに、果実の収穫に1日24時間、従事する予定だ。
この3月、ニュージーランドの果樹園で、ロボット・システムがリンゴの収穫を開始した。ニュージーランド最大の食品生産者のひとつであるT&Gグローバル(T&G Global)が、米国のスタートアップ企業 であるアバンダント・ロボティックス(Abundant Robotics)と協業。アバンダントのテクノロジーを導入してロボットを操縦している。
ロボットを導入する要因となったのは、季節労働者の不足と、生産性向上の必要性だ。T&Gのピーター・ランドン-レイン最高執行責任者(COO)は次のように語る。「果実をすべて収穫する人手が足りないために、これまで多くの収穫を取り残していました。これから必要となる労働力の大きな穴を埋めることはもはや不可能です。今後はテクノロジーに頼るしかありません」。
この機械はライダー(LIDAR:レーザーによる画像検出・測距)を用いて木々の間の列を自動的に動き回り、マシン・ビジョンを使って熟れたリンゴとそうでないものを見分ける。そうして選定されたリンゴを、真空装置を使って木から優しく「吸い取る」仕組みである。
除草などの農作業は徐々に自動化されているが、果実や野菜の収穫が人間並みのレベルに達するまでには時間がかかる。作業によって慎重な判断が必要であり、収穫物を傷めないようにすることが難しいからだ。
T&Gは、新しいロボットの導入によって人間の職が失われることはないとしている。 必要な果実をすべて収穫することがロボットではまだ不可能だからだ。ロボットは夜間に、手の届きにくい部分になった果実を取るために使われることになる。