5年以内に人類を再び月面に送り込む——。米国のマイク・ペンス副大統領が、こんな課題を航空宇宙局(NASA)に突きつけた。
ペンス副大統領の「2024年宣言」は、3月26日に開かれた国家宇宙会議で発表された。「国家宇宙会議はNASAに大きな軌道修正を始めるよう、大統領に勧告します。そして50年前に米国を宇宙開発の先駆者へと駆り立てた、あの切迫感を再燃させたい」(ペンス副大統領)。
ペンス副大統領は、今回のミッションの目標は月の南極への着陸だと述べた。さらにペンス副大統領は、南極には氷が堆積していることが知られており、このエリアは科学的にも戦略的にも大きな価値を有していると述べた。
ミッションを実現するには、ロケットと資金集めに関する迅速な対応が求められる。ロケットについてペンス副大統領は、遅れが出ている「スペース・ローンチ・システム(SLS)」の完成を急ぐよう促した。資金に関しては、連邦予算に占めるNASAの割合は目下、アポロ計画当時と比較してわずかなものだ。NASAの予算は、1966年には国家予算の4.5%近くを占めていた。来年度については、現在の国家予算の約0.4%となっている。月面に再び宇宙飛行士を送り込む目標を現実に達成するには、NASAの予算を大幅に増やす必要があるだろう。