ライダー(LIDAR:レーザーによる画像検出・測距)を備えたドローンが、宇宙開発に適用可能な手法を用いて、アイスランドにある溶岩洞の地図をほんの数分で作成した。
このドローンは、GPSを使用することも、事前に地図を読み込むこともなく、アイスランドのロフトへトリル(Lofthellir)溶岩洞の岩まみれで氷で覆われた特徴を安全にかつ正確に捉え、地図を素早く作成できた。今回の溶岩洞探査は、非営利組織のSETI協会とスタートアップ企業であるアストロボティック・テクノロジー(Astrobotic Technology)による共同の取り組みだ。月や火星にある似たような洞窟を、自動で探査するというコンセプトを証明した。このドローンによる探査の映像はこちらで見ることができる。
月にも火星にも、地表に入り口が開いている洞窟が存在する。こうした洞窟の多くは溶岩洞ではないかと考えられている。溶岩洞は、溶岩流の上層が冷えて固まり、その下の溶融岩が流れ出て形成された空間である。アストロボティックにおいて将来のミッションとテクノロジー分野の責任者を務めるアンドリュー・ホルチャーは、3月19日のプレスリリースの中で次のように述べている。「地球や月、火星にある溶岩洞を探索するためのロボット・プラットフォームとしては、小さくて自由に飛行できる宇宙船が理想的でしょう。その理由は単純です。そうしたプラットフォームであれば、洞窟や溶岩洞の内部に見られる、でこぼこで不安定な恐れのある表面に直接触れなくて済むからです。機敏なドローンは、素早く洞窟に入り、地図を作成し、洞窟から出てくることができます。洞窟の暗闇から戻り、地球にデータを送り返したり、地表にサンプルを持ち帰ったり、充電したり、燃料を補給したりできるでしょう」。
大気が薄いかあるいは全くない月や火星環境での作業にこのテクノロジーを持ち込むには多少の調整が必要だろう。宇宙探査ドローンにはプロペラではなくスラスター(推進装置)が必要になるが、SETI協会とアストロボティック・テクノロジーのチームの実験により、今回ドローンに装備されたナビゲーションシステムやセンサーが溶岩洞に使用できることが証明された。