3月11日に発表された米国の2020会計年度(2019年10月〜2020年9月)の予算教書で、米国航空宇宙局(NASA)の予算はおよそ5億ドル減額された。その中身を見てみると、月にいっそう重点を置く方針が鮮明だ。
最優先となったのは、「月ゲートウェイ・プロジェクト(Lunar Gateway project)」だ。プロジェクトは月を周回する宇宙ステーションを建設する構想で、深宇宙探査に向けた出発点となる役目が見込まれている。予算案では8億2100万ドルを要求しており、2019年に割り当てられた額のほぼ2倍に相当する。大幅に遅延している「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)」の予算も増額された。
今回の予算には、はるかに多くの敗者がいた。NASAの予算全体は前年比で約2%下回っており、ほぼ5億ドル近い減額となる。つまり、広範にわたる大幅な削減を示しているわけだ。主なものは以下の2つだ。
- 次期大規模ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS:Space Launch System)」は、何度も延期されており、予算は多少削られた。SLSの予算要求は17億8000万ドルだが、昨年割り当てられた額から約3億7500万ドル減額している。具体的には、ブロック1B(Block 1 B)ロケットの改良型の製造に関するスケジュールが延期された。
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- もっとも予算を削減されたプログラムの1つは、広視野赤外線サーベイ望遠鏡(WFIRST)ミッションで、昨年は3億1200万ドルが割り当てられている。予算が承認されれば、2020年代に開始を予定していたこの大規模赤外線天文ミッションは中止されるだろう。
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さらに詳しいことは、国際NPOの惑星協会(Planetary Society)がまとめた、昨年からの予算の内訳の変化を読んでほしい。
今回の予算の割り当ては、現政権が短期目標として月に関心を持っていることを示している。3月12日にNASAのジム・ブライデンスタイン長官は、この予算によって2028年までに、NASAが人間を月に送り込む計画が引続き順調に進むであろうと述べた。次のステップは、予算の承認だ