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これまでのイヤホンでは体験できない、すごい音

Ultrasone「SAPHIRE」が登場、静電型を併用したハイブリッド型イヤホンを聴く

2019年03月08日 16時00分更新

文● ASCII、小林

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試行錯誤の末、珍しい静電型とBA型のハイブリッド構成に

 そして、登場したのがSAPHIREだ。市場にはまだ少ない静電型ドライバーを使って、プレミアムイヤホン市場にカムバックするという課題に取り組んだ。様々な種類の音をイヤホンで再現するために何が必要かを考え、ドライバー構成を吟味したという。

鏡面加工したフェイスプレートにUltrasoneのロゴをあしらっている。シリアル番号は本体には記載されていないが、海外向けでは、別途金属製のシリアル番号入りプレートが付くようだ(国内では未定)。

 音質の良さが特徴なのはもちろんだが、使い勝手の良さにも注目したい。

 静電型イヤホンは仕組み上、高い電圧を供給して駆動する必要があり、専用アンプと組み合わせるのが必須となっている。つまり、音質以前に持ち運びやケーブルの取り回しといった面での不便さがあるのだ。しかし最近になって、イヤホンの筐体にも収納できる小型のトランスを組み合わせ、携帯プレーヤーの出力でも駆動できるユニットが出てきた。ここが技術的なブレークスルーになった。

プレーヤーにそのまま差して使える簡単さ

 SAPHIREは4ウェイ6ドライバー構成。うち4基がBA型ユニットで、低域を2基、中域を1基、高域を1基が担当する。静電型ユニットは2基使い、超高域を担当する。静電型ドライバーの振動板は6μgと超軽量で、表面にゴールドコーティングが施されている。内蔵トランスは16μmと極細のワイヤーを1万5000回巻いたもので、通常のヘッドホン出力から入力した信号を昇圧して約100倍の電力にできる。

 そのため、静電型ユニットを使ったイヤホンでありながら、アンプの追加は不要だ。普通のイヤホンと同様にプレーヤーの端子に直接差して利用できる。

 開発の検討段階では、ダイナミック型ドライバーと組み合わせたり、スーパーツィーター以外の役割を持たせるといった試みもあった。結果、マルチBA+静電型×2のスーパーツィーターを使うのが最適解だと結論付けたという。音質面での狙いはEdition 15などとも共通する自然さと緻密さの再現。さらにイヤホンでもヘッドホン並みの音の広さや力強さを表現することを目指した。

4ウェイだが導管は3つ。穴の大きさは揃っている。

 各ドライバーが再生する帯域を分けるネットワーク回路はイギリス製だという。クロスオーバーの数値は公表されていないが、可聴域の一部を静電型ユニットが担っているという話もあった。

 マルチドライバーのイヤホンでは、8Ω以下とかなり低いインピーダンスの製品も存在するが、SAPHIREの場合は25Ωと一般的な範囲に収まっている。インピーダンスが低いイヤホンは音色変化が出やすく、アンプの性能も求められるが、鳴らしやすさという意味でも問題のないイヤホンに仕上げている。

 本体には2ピン端子を備え、リケーブルが可能。一般的な3.5mmミニジャックと、バランス駆動用の2.5mm4極端子の2種類のケーブルを同梱する。本体重量は約15g(ケーブル含まず)。周波数特性は10Hz~50kHz。SpinFitのCP145と、ComplyのTX-400という2種類のイヤーチップに加え、革製のハードキャリングケース、クリーニングクロス、クリーニングツールなどが付属する。

付属品の一覧

コンプライの低反発タイプと、スピンフィットのシリコンタイプの2種類を用意している。

3.5mm端子のケーブルはツイストタイプでジャックはストレート形状、2.5mm端子のケーブルはビニール皮膜でジャックはL字形状となり、外観上はかなり異なる。とはいえ、線材はOFC線で基本的に同じだという。3.5mmの方は銀コートしているのがわかる。

 アルミ製の筐体は、アルマイト処理でブルーに塗装されているが、これは2016年から限定販売されたTribute 7と同じ素材(航空機グレードのアルミ合金)とカラーリングだ。Tribute 7は2004年に発売し、ハイエンドヘッドホンという新しい市場を作った、Ultrasoneの出世作「Edition 7」を現代の素材と技術で復刻するというコンセプトで作られた製品だ。

一般的なIEMスタイルの機種とはケーブルの取り付け向きが違うのだが、装着感は自然だった。

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