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ついに1型センサー搭載で超高画質になったのだっ

リコーが全天周カメラの高画質モデル「THETA Z1」=発表会 実機レポート

2019年02月26日 16時00分更新

文● 小山安博+カメラ特捜班

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 リコーは25日、360度の静止画や動画を撮影できる全天球カメラ「THETA Z1」を発表した。新たに1型センサーを搭載し、静止画の画質向上を図った。発売は3月下旬から、価格はオープン価格だが、同社直販サイトの価格は12万6900円。同社Smart Vision事業本部長の大谷渉氏は、THETA Z1のテーマとして「品質の追求」をあげ、特に静止画が質を重視したことを強調する。

THETA Z1

 THETAは、2013年11月に世界初の全天球カメラとして初代が登場。動画対応したTHETA m15、高画質化したTHETA Sと世代を重ね、現行モデルとしては低価格で手軽に利用できるTHETA SC、動画性能やプラグイン対応などを図ったTHETA Vが提供されている。

これまでのTHETAシリーズ

 大谷氏は、「フォルムはだいたい一緒だが、中身が進化し続ける360度カメラとしてトップブランドを確立したと自負している」と胸を張り、着実に市場での存在感を高めてきたとアピール。

 旅行やスポーツ、家族などの撮影で一般ユーザーへの利用が進んできたことに加え、写真ではなくその場を写す「写場」という言葉を作って新たな映像の作り方、見せ方と言った映像文化を発展させてきたと自負を見せる。

 法人での利用も拡大。特に不動産、報道、建築などの分野で利用が進んできて、ホスティングサービスも提供することで、端末とサービスの両輪からビジネスを強化してきたという。

法人利用の拡大に加え、ホスティングサービスも提供してきた

 そして新たに追加されるのが今回のTHETA Z1。今までのTHETAユーザーはカメラと写真への関心が高く、解像感や高感度撮影時の画質向上といった要望が多かったということで、これに対応するTHETAを開発した。

THETA Z1を掲げるTHETA事業部長の藤木仁氏

エントリーのSC、アドバンスドモデルとしてのVに続き、プレミアムモデルという位置づけのZ1

 画質向上のために採用したのが1型の裏面照射型CMOSセンサーだ。従来の1/2.3型CMOSセンサーと比べて大幅なサイズアップを図ったことで、感度が向上して全体の画質が進化した。

1型という大型センサーを搭載

従来の1/2.3型CMOSセンサー(右)と比べて大型化した1型センサー。全天球を実現するため、これを2つ搭載している

 センサーの大型化にともない、画素数は従来の有効画素数1200万画素から同2300万画素に高画素化。それでもセンサーの大型化によってピクセルピッチは3倍になっており、ISO感度はISO6400までサポート。THETA V比で1段分のノイズ低減を実現したという。例えば、THETA VのISO800のノイズレベルが、THETA Z1ではISO1600と同等になったそうだ。

高感度でのノイズが低減し、画質が向上した

 それに合わせてレンズユニットも刷新し、絞り機構も備えた。絞りはF2.1、F3.5、F5.6の3段階から選択でき、シーンに応じて使い分けられるようにした。1型のセンサーを2枚、画角180度の魚眼レンズを2枚利用するTHETA Z1では、全体としてレンズユニットが大型化するが、これを厚さ24mmに収めるために、新たに3回屈曲構造の光学系を採用した。

新開発のレンズユニット。レンズの下にある基板の部分がセンサー

光軸を3回に渡って折り曲げる「3回屈曲構造」を採用した

 これは、レンズから入った光軸をプリズムで側面に曲げ、さらにプリズムで下方に折り曲げ、3つ目のプリズムで内側に曲げて、そこに配置したセンサーに光を届ける、というもので、多少のロスはあるものの、厚みを抑えることを実現した。「非常にアクロバティックなことをしている」とは大谷氏のコメントだ。

左はTHETA V。レンズが大幅に大型化した

 大型センサーを2枚搭載することで発熱も大きくなったが、新たに金属のマグネシウムボディを採用して放熱を行うことで、連続稼働で本体は厚くなるものの、長時間の連続駆動を可能にした。ただし、動画撮影時間は従来の80分から60分に減少している。

新たに採用したマグネシウムボディ

 本体下部には新たに有機ELパネルも搭載。撮影情報の表示が可能になり、使いやすさが向上した。側面にFnボタンが新設され、有機ELパネルのオンオフに加え、セルフタイマー切り替えなどの操作性向上も図られた。

本体下部には有機ELパネル

側面には新たにFnボタン

 画質面では、RAW(DNG)形式での記録にも対応。PCで後処理を行うことで、画質をさらに追い込んだり、さまざまな修正を加えたりできるようになった。DNGからエクイレクタングラー形式の全天球画像を生成するために、Adobe Photoshop Lightroom Classic CC用のプラグイン「Ricoh THETA Sticher」を無償提供する。

RAW(DNG)形式の画像をスティッチングできるLightroomプラグインを提供。Lightroom以外の環境に対してのプラグイン提供は検討中とのこと

 THETA Vと同じくSoCとしてSnapdragon、OSとしてAndroidを採用しており、プラグインでの拡張にも対応する。すでに提供済みのプラグインのほか、3月にも提供を開始する「タイムシフトシューティング」といったプラグインが利用できる。なお、このタイムシフトシューティングは、フロントとリアのカメラでの撮影を時間差で行うというもの。三脚などに固定して撮影する際に、撮影者が撮影していない側のレンズに移動することで、撮影者が写らずに撮影できる、というプラグインだそうだ。

 大谷氏は、「カメラメーカーとしての挑戦としてエネルギーを込めて作ってきた」と強調。画質の向上に自信を見せる。THETA事業部長の藤木仁氏も「創作意欲に応える製品」とアピールする。

Smart Vision事業本部長・大谷渉氏

 同時に、全天球画像や動画のコンテンツ拡大に向けて、アマナと協業して市場の活性化を目指す。アマナはVRコンテンツ専門チームを抱えるほか、360度コンテンツの制作者のコミュニティ作りにも取り組んでいる。ノウハウなどを提供することで、コミュニティ参加者の技術的な底上げを狙うほか、国内最大級のストックフォトサービスであるアマナイメージズで360度コンテンツの販売を行うことで、制作者のマネタイズでも貢献したい考えだ。

アマナとの取り組み

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