高齢化社会・日本で健康的な生活を続けていくには「歯」が重要だ。厚生労働省による健康づくり運動「健康日本21」の中でも、歯の喪失を防ぐことが推奨されている。だが、歯の健康を維持するために欠かせない「歯磨き」という行為は大昔からあまり変わっていない。最近では電動歯ブラシの人気も高まっているものの、歯磨きのスキルには個人差があり、高齢によって筋⼒が低下していくと独⼒での歯磨きも難しくなる。
早稲田大学理工学術院の石井裕之准教授らのグループはこのほど、手を使わずに歯が磨ける全自動歯ブラシを開発した。現在市販されている電動歯ブラシと異なり、マウスピースを口にくわえておくだけで、小型電動モーターが口の中で上下左右にブラシを運動させて歯垢を除去してくれる、いわば「歯磨きロボット」。およそ30秒間で、手で磨いた場合と同程度に歯垢を除去できるという。もともとは介護者による歯磨き補助の負担を減らすことが開発の目的だが、歯磨きをしながら髪型を整えたり、家事をしたりと、多忙な人にもメリットがありそうだ。
共同で開発を進めている早大発のベンチャー「ジェニクス(Genics)」は2019年度中の試験販売開始を予定している。