2月28日、OPPOはスペイン・バルセロナで開催される「MWC Barcelona 19」に関連して、プレス向けの説明会を開催。同社の「ロスレス10倍ズーム」の詳細が確認できた。
前日の発表会でも紹介された「ロスレス10倍ズーム」は、プリズムを使って光軸を曲げる潜望鏡のような構造。一般的に望遠レンズは組みあわせて使用するレンズも多くなり長さが必要となり、そのままでは一般的なスマートフォンの厚さには組み込めない。そこで潜望鏡のような構造を採用することで、長さのある望遠レンズでもスマートフォン本体に搭載できるわけだ。
光を曲げることで薄型化と
望遠レンズと大型センサーの組み合わせを可能にした
説明会に登壇したOPPOのプロダクトマネージャー チャック・ワン氏によると、レンズ自体の長さは15mmとのこと。厚さは前日の発表会でも公表されているとおり6.76mmなので、これなら本体のスマートフォンを一般的な厚さで設計しても組み込めるわけだ。
ちなみにセンサーサイズは公表されていないが、スマートフォンによく「大型センサー」と言われて採用されている1/2.3インチのセンサーは短辺が4.3mm。スマートフォンでは最大クラスのファーウェイのHUAWEI P20 Proでも1/1.7インチで短辺は5.6mm。潜望鏡タイプのレンズだと、センサーはスマートフォンのディスプレーに対して垂直の配置になるが、1/1.7インチでも6.76mm以下なので数値的には配置可能だ。
他のメーカーのスマートフォンでは望遠側のカメラには長いレンズが使えないので、小さいセンサーと組み合わせて対応しているケースが多い。そのため大きいセンサーが使えるのは画質的には大きなアドバンテージと言える。
プリズムを使った潜望鏡タイプの望遠レンズといえば、ASUSから発売された「ZenFone ZOOM」の初代機にも搭載されている。ただし「ZenFone ZOOM」に搭載されているレンズは、モーターを搭載して光学ズームにも対応している。一方OPPOの「ロスレス10倍ズーム」の望遠カメラは8.1倍の短焦点。広角の1倍、標準、望遠の8.1倍以外の撮影ではデジタルズームなどの処理が実施されている。
発表会では16mm/160mmの「ロスレス10倍ズーム」とうたわれていたが、実際に搭載されているレンズは8.1倍。テスト端末のカメラアプリでズームをしていくと、8.1倍からレンズが切り替わる。そして10倍の160mmまではデジタルズームでの処理だ。
この点について「ロスレスとはどういうことか?」と質問したところ、「10倍ズームまで800万画素にはなるものの、アルゴリズムなどのソフトウェア技術で非常に高品質でクリアな写真に仕上げられる」との回答。1倍から10倍までデジタル処理により高品質で撮影できるから「ロスレス10倍ズーム」とわけだ。
トリミングやデジタル補正をがなされているのであれば、筆者としては「ロスレス」とは思えないが、OPPOとしては「キレイな写真」というニュアンスで「ロスレス」というコピーを使っているようだ。
最近スマートフォンメーカーを取材して感じるのが、スマートフォンのカメラはデジタルカメラとは違った評価基準で開発されているということ。これまでの評価基準でいえば光学ズームで撮影された写真と、デジタルズームで撮影された写真は別のもの。
しかし、スマートフォンメーカーの評価基準は光学ズームだろうがデジタルズームであろうが、ある程度デジタル処理をするわけで、トータルとして明らかに画質が落ちるわけでなければ区別する必要はない。むしろ、なぜ分けるのかわからないというスタンスだ。
コンパクトデジタルカメラの市場はすっかりスマートフォンに置き換わってしまった現状を考えると、ユーザーが求めているのは最終的に書き出される写真データのクオリティーで、光学やデジタルといった違いは従来のカメラ好きのこだわりでしかないのかもしれない。OPPOの「ロスレス10倍ズームレンズ」の説明からそう感じた。
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