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ペヤング北海道ジンギスカン風は食の記憶に対する挑戦だった

2019年02月09日 12時00分更新

文● 四本淑三

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 ペヤング「やきそば北海道ジンギスカン風」。すでにあちこちで言われているが、想像より遥かにすごいものであり、いまだかつてない食体験をもたらすものだった。今回はつべこべ言わずに早速食べてみよう(前回の記事はこちら)。

「ペヤングやきそば北海道ジンギスカン風」。希望小売価格は200円

羊羊羊羊羊羊羊羊! 羊?(一食目)

 パッケージを開けて、中のフタをビリリと規定位置まで開ける。麺は通常のペヤングと変わらないように見えるがどうだろう。見てわかる違いは、かやくとソースだ。

 よし、かやくを入れて熱湯を注ごう。そして3分待ったら、お湯を切ってソースを混ぜよう。

 おおお、これは羊の匂いだ。冷凍の輪切り肉を鉄鍋で焼いている最中の、あの匂いだ。羊肉から滲み出る油が少し焦げたくらいの匂い。そのあたりの焼き加減が一番うまいんだ。さあタレをつけて食べようか。

 と、いつもの焼肉気分になってしまう本物っぽさ。だが、実際に口へ運んでみると、なんと評していいのかわからず混乱する。匂いは確かに記憶の中にあるジンギスカンそのものだ。羊羊羊羊羊羊羊羊! 羊に次ぐ羊の嵐なのである。

 しかし、いざ舌の上に乗せてみると、これはジンギスカンとは似ても似つかないなにかだ。例えて言うなら、ワイキキのビーチでビキニの美熟女が隣でうつ伏せになって寝そべっているので背中のビキニの紐の結び目に手を伸ばそうとしたらVRゴーグルが外れて自室のベッドから転落して脱臼した、くらいの感じである。

 不適切な例えだった。お詫びして言い直すと、これはジンギスカンの概念である。概念を口に運んでいるのだ。

 匂いだけでジンギスカンをリアルに感じる自分って愚かだなと、遠くを見ながらもう一度箸をつけてみると、再び激しい羊ストームが押しよせ期待値MAXに達し、口に入れたところでベッドから転げ落ちる。その繰り返し。これは斬新だ。

 羊否! 虚! 羊否! 虚! 羊否! 虚!

 期待と裏切りの反復によるいまだかつて体験したことのない正反合の食体験。嗅覚と味覚の殴り合い。それによってもたらされる肯定と否定のリズム。なにを言っているのかよくわからないが、食べている間中、賛と否の感情が交互に出現し続けるわけだから、これは当然賛否が分かれるだろう。

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