マザーボードの違いをさらに詳しくチェック
外見は全く同じだがマザーボードはやっぱり違う、という点はわかったと思うが、マザーボードの違いについて、もう少し詳しく見ていこう。
まず気になったのがVRM(CPUに電力を供給する電源回路)の違い。側面から見るとよくわかるが、インテル版は背の低いヒートシンクが装着されているのに対し、AMD版は背の高いヒートシンクに置き換わっている。また、裏表両面に分かれてVRMが構成されているインテル版に対し、AMD版は表面だけに部品が実装されているという違いがある。
作りこそインテル版と同じ5フェーズとなっているが、AMD版ではチョークコイルやMOSFETにサーバーグレードの部品が採用されているとのこと。また、一般的なATXマザーボードと比べるとフェーズ数こそ少ないが、グレードの高い部品の採用により、電源の安定性は高まっているそうだ。
続いてコネクターに注目してみると、SATAを2つ装備しているという点こそ同じだが、AMD版にはM.2スロットが2つになっているというのが大きな違いだ。これにより、SATA×2とM.2スロット×2、合計4つのストレージを内蔵することが可能となっている。
ただし、背面のM.2スロットは「Athlon 2xxGE」を使った場合、PCIe×2接続となる点には注意が必要だ。これは単純にAthlonのPCIeレーン数が少ないための制限で、「Ryzen 5 2400G」や「Ryzen 3 2200G」を使う場合はPCIe×4となる。試しに「CrystalDiskInfo」でRyzen 5 2400G使用時の接続速度をチェックしてみたが、しっかりと「PCIe 3.0×4」となっていることが確認できた。
この逆に、インテル版にあってAMD版にないものがmicroSDカードスロット。マザーボードの裏面、SATAコネクターの横に装備されているもので、マザーボードを外さなければアクセスできない位置にある。容易に着脱できないだけに用途は難しいが、隠しフォルダーの作成、OSの復元用、データのバックアップ先などとして活用できそうだ。
充実した装備で高性能PCが組める、かなり楽しめる小型ベアボーン
AMDのCPUが搭載できる小型ベアボーンということで、インテル版と比べどのくらい違うのかを比較してみたが、サイズや外見は全く同じ、機能面ではM.2の増加もあって、むしろAMD版のほうが魅力的な製品に仕上がっている。小型PCではインテルが優勢となっていたが、「DeskMini A300」の登場は、その立場を揺るがすだけのインパクトがあるものだ。AMDのCPUが使いたいけど、コンパクトなPCが欲しいと思っていた人にとって、これ以上はない朗報といえる。
価格は2万円前後と安めなので、Athlonと組み合わせれば低価格PCの自作もやりやすい。高性能な小型PCを好む自作ファンはもちろんのこと、なるべく低価格でPCを手に入れたいという人にもオススメできる製品だ。